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鑑定資料の全量消費

2007年10月15日 (月)

鑑定資料の全量消費の矛盾(3)

   鑑定資料の分析に要する時間については、分析に要する作業、分析作業の準備から分析・分析後の機器・機材の洗浄等一連の作業があるため、更に今回のように、他の毒物等の検出のための分析を考慮すると、1回に要する時間を特定することは不可能だということが分かりました。
 従って、大阪府警T技官の証言では1ミリリットルの資料から、50回の定性分析に必要な注入量がとれるとしていることから、鑑定資料の量がどの程度の分析が可能か計算してみると、約5200回の分析を行ったことになります。

 

平成12年12月12日大阪府警に搬入
    Kくんの鑑定資料   
        血清   約2ミリリットル             100回
        点滴溶液  約50ミリリットル       2500回
    A子ちゃんの鑑定資料
                血清      約6ミリリットル              300回
                尿        約8ミリリットル               400回
平成12年12月20日大阪府警に搬入
    Sさんの鑑定資料
         点滴溶液  約30ミリリットル    1200回
上記の鑑定報告書 (平成13年1月19日)

 

平成13年1月24日
   Mちゃんの鑑定資料大阪府警に搬入
                 血清  約1ミリリットル              50回
上記の鑑定報告書 (平成13年2月23日)

 

平成13年2月12日大阪府警に搬入
   Aさんの鑑定資料
                 点滴溶液    約7ミリリットル        350回
                 点滴溶液    約3ミリリット          150回
                 点滴溶液    約3ミリリットル        150回
上記の鑑定報告書 (平成13年3月23日)
                                                   合計  5200回

 

平成12年12月13日から平成13年3月22日までの間、年末年始土日を差し引くと69日が就労日数として、
      5200回÷69日=75.36回(1日の分析回数)

 

つまり、大阪府警科捜研の技官は、約70日間大阪府警科捜研の仕事を行わずに、1日約75回以上の分析を行えば、鑑定資料を全量消費したことになります。

 

しかし、鑑定資料の全量消費の矛盾(1)で記載しましたが、

 

判決文47・48頁の「・・・・ところで、大阪府警科捜研は、当時多忙であったところを、・・・」が事実とすれば、5200回にも及ぶ分析がなされていなかったことが明白ではないかと思います。

2007年8月21日 (火)

鑑定資料の全量消費の矛盾(2)

大阪府警科捜研で、鑑定資料を全部分析に使用したと言っておりますが、分析にようする時間は、かなり長時間の分析を行ったことになります。

 

現在、1回分析に要する時間を検証しておりますが、どうしても検体を受領してから鑑定書を提出するまでの時間では、全量を分析したということは、あり得ない時間になります。このことを、明らかにするため、現在検証中です。

2007年5月 6日 (日)

鑑定資料の全量消費の矛盾(1)

 

 

判決文74頁                                            (3)鑑定資料が全量消費されたことについて                           弁護人は、本件各鑑定により各鑑定資料がいずれも全量消費されたことをとらえ、そもそも、真実、前記(1)イ(エ)のような鑑定嘱託書で嘱託されていない他の薬毒物の検査が実施されたか自体疑わしいし、仮に実際に他の薬毒物の検査が行われた事実があったとしても、それは、再鑑定による追試を妨げる目的で、殊更に鑑定資料を全量消費したものであるから、いずれにしても、各鑑定書の証拠能力及び信用性は否定されるべきであると主張する。                                               しかし、土橋吏員の証言によれば、本件各鑑定のような事件性を有する事例においては、単に目的成分が検出されたというだけでは、被害結果が他の薬毒物により引き起こされた可能性も否定できず、後々他の薬毒物が検出されて因果関係が問題とされた事例も多々あるため、薬毒物による事件の鑑定において、薬毒物の含有の有無全般の分析を行わないことは致命的な欠点になり得るとの認識を有し、日ごろから大阪府警察から鑑定嘱託に基づく鑑定においては、目的成分を限定しない「薬毒物含有の有無」との嘱託事項で鑑定を行っており、大阪府警科捜研の他の技術吏員にもそのような指導をしていたところ、本件各鑑定の嘱託書では鑑定事項が限定されていたため、宮城県警科捜研のY吏員に問い合わせた結果、他の薬毒物の鑑定が未了であることが判明したため、鑑定事項を「薬毒物含有の有無」とすることを提案したが、その後Y吏員から、宮城県警側で相談した結果として、鑑定事項はそのままにしておいて、他の薬毒物分析も行ってほしいとの依頼を受けたことから、他の薬毒物分析を行うことになったことが認められるのであり、その経緯には、一応の合理性が認められ、首肯し得るのであり、特段不自然な点は認められない・・・・・

 

この様に、いとも簡単に鑑定事項に他の薬毒物を追加しているが、次の論告要旨との整合性が全く無いことを、裁判官はどの様に理解しているのでしょうか。

 

論告要旨152頁                                           ところで、大阪府警科捜研の土橋技術吏員は,A子の血清等の鑑定嘱託を受け、これらの鑑定資料を受領したが、鑑定資料が同時に4点も持ち込まれたため、宮城県警科捜研にたいし、その後の鑑定嘱託に当たっては、ベクロニウム等鑑定対象薬物が含有されている可能性のあるものを選別した上で鑑定嘱託をしてほしい旨を要請し、これを受けて、宮城県警科捜研では、Sさんに投与された点滴溶液の残溶液に臭化ベクロニウムが混入されていれば、同溶液中から臭素が検出されることになるから、同溶液について、臭素含有の有無の予備試験を行った上、臭素の含有が認められた場合に同溶液を大阪府警科捜研に鑑定嘱託することとした・・・・・・

 

 

 

土橋技術吏員は、同時に4点の鑑定資料を持ち込まれたことから、ベクロニウム等の鑑定対象薬物の含有されている可能性のあるものを選別して鑑定嘱託してほしいと要請したことは、明らかに鑑定嘱託の限定するよう要請していながら、裁判では目的を限定しないで鑑定を行った等と証言しているが、どちらが真実なのでしょうか。?

 

すなおに考えるなら、論告要旨のとおり、大阪府警科捜研の仕事をしている中で、他県から鑑定嘱託があったので、鑑定嘱託の目的をなるべく効率的に行うために鑑定資料をあらかじめ限定して持ってきてほしいと要請したのが当然であったのではないでしょうか。

 

 

 

 

 

警察には、犯罪の捜査に当たって、次のような決まりがあります。                                 犯罪捜査規範(昭和32年7月11日国家公安委員会規則第2号)             (再鑑識のための考慮)                                      第186条 血液、精液、だ液、臓器、毛髪、薬品、爆発物等の鑑識に当たっては、なるべくその全部を用いることなく一部をもって行い、残部は保存しておく等再鑑識のための考慮を払わなければならない。

 

このように、規則も守らないで再鑑定を不可能にした全量消費を行ったのは、本当に不自然ではないのだろうか。証拠隠滅と同様なことではないかと思います。

 

追加(2007・5・20)                                         判決文47・48頁                                            ・・・ところで、大阪府警科捜研は、当時多忙であったところを、前記のとおり12月12日に一度にO事件及びT事件の各資料が持ち込まれたことから、宮城県警科捜研に対し、今後鑑定資料を持ち込む場合には、臭化ベロニウムの含有する可能性が高いものを選別してからにしてほしい旨依頼し、これを受けた宮城県警科捜研において、上記点滴ボトル内の溶液につき臭素含有の予備試験を実施することとした。・・・・

 

裁判官は、当時多忙であった状況と、全量消費したことの矛盾を、なんと説明出来るのでしょうか。

 

こんな矛盾した判決で、有罪にして良いのでしょうか。