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2012年12月の記事

2012年12月31日 (月)

第3回再審準備協議において有罪の決めてが覆った。

以前掲載した、「ベクロニウムの分子量は、557.82で、m/z279(分子イオンにプロトンが付加した2価イオン)のイオンであります。」の中で仙台高裁の判決文の中に次の文があります。

 

仙台高裁判決文P7

 

なお,土橋吏員の証言(第24回,第25回)によれば,本件各鑑定において,各鑑定資料からベクロニウムの未変化体が分離・検出されていることが認められるから,m/z258のプリカーサイオンが,本件各鑑定資料中に存在したベクロニウムの脱アセチル化した変化体に由来するものでないことは明らかである。

 

ところが、再審請求による三者(裁判官・検察官・弁護士)協議の中で、仙台地方検察庁から提出された「意見書」で驚くことが明らかになりました。

 

ベクロニウムが加水分解されやすいことから、脱アセチル化体からm/z258が検出されたとする可能性をしめすことが出来る。つまり変化体のm/z258が出たという、仙台高裁の判決とは、全く違う分析結果を明らかにしました。

 

この事件で有罪の決め手になった重要な証拠である大阪府警科捜研の「土橋鑑定」が証拠価値がないことが明らかになったと思います。

 

詳細については、内容を更に精査して掲載いたします。

2012年12月26日 (水)

裁判官はここでも間違った判決文を。

判決文では、薬剤管理の状況を次のように言っております。

 

判決文P27
・・・・・・・・北陵クリニックでは、平成9年7月ころまでは、常駐の薬剤師が薬剤の管理を行っていたが、その後は、薬剤師を置かなかった事から、薬剤を正規に管理する者がいなくなり・・・・・・・・・

 

判決文P29
・・・・・・・・・なお、薬剤師がいなくなってからは、事務長が薬剤の管理を行うようになり、各年度末に実地棚卸しを行って、毎年3月31日時点でのマスキュラックスを含む各薬剤の在庫確認をしていた。

 

ところが、平成13年1月17日、国、県、仙台市による立ち入り検査を行った結果は次の通りです。
平成13年4月23日付け、厚生労働省医薬局長通知「毒薬等の適正な保管管理の徹底について」に添付された参考資料によれば。

 

(2)管理体制について
  事件前の毒薬等の管理責任者は院長であるとのことであったが、院長は非常勤であったため、内部での管理分担等について取決めておらず、少なくとも実質的な管理は不十分であったと考えられる。また事件前は毒薬等の定期的な在庫数量等の管理も行われていなかった。なお、事件後は、常勤の院長が毒薬等の管理にあたっているとのことであった。

 

平成13年4月23日付け、厚生労働省医薬局長通知「毒薬等の適正な保管管理の徹底について」全文は
http://www.mhlw.go.jp/houdou/0104/h0423-1.html 

 

 この様に、判決文と、行政機関が行った立入検査の結果が、明らかに矛盾しております。
 真実が二つ有る等ということが許されないと思います。しかし、これが事実です。

 

 判決が下される前、逮捕直後に行った立入検査の結果が真実だと思います。
 この事実を知らないで、公判が進行して判決を行ったことは明らかに裁判官は間違った認識で、判決を下したということになります。

 

裁判官は検察の資料だけを盲信していることがこのことからも明らかです。裁判官は自ら真実を探求することを行っていない典型的な例だと思うと、裁判官の役割を放棄していると思える事例だと思います。

2012年12月21日 (金)

証拠隠滅と偽証を行ったのでは 鑑定資料全量消費の矛盾(4)

土橋吏員は、仙台地裁の法廷で、偽証を行ったことが、明らかになったと推認されることから以前掲載したものを再度掲載するものです。詳細については、後日明らかにいたします。

 

大阪府警科捜研土橋技官の証言を読んで、鑑定資料の全量消費は、証拠隠滅ではないかと思いました。同時に大阪府警科捜研の質の悪さにあきれかえりました。

 

鑑定試料を全量消費したことは、土橋技官だけでなく大阪府警、宮城県警による証拠隠滅ではないだろうか。
これから、大阪府警の科学捜査研究所の土橋技官の法廷での証言を検証してゆきます。
まず土橋技官は、大阪府警の警察職員として採用され、科学捜査研究所に所属する職員であること。また、犯罪捜査規範を遵守する義務があることを理解するため、関連法規の抜粋を掲載します。

 

  ○大阪府警察職員定員条例抜粋
(定員)
第一条 大阪府警察職員の定員は、休職者、公益的法人等への職員の派遣等に関する条例(平成十三年大阪府条例第七十一号)第三条第一号に規定する派遣職員及びこれらに準ずる者を除き、次の表のとおりとする。
区分   定員
警察官 警視
警部
警部補及び巡査部長
巡査(警察教養施設において新任者として教育訓練中の者を含む。) 

警察官を除く警察職員(臨時に雇用される者を除く。)

 

○大阪府警察本部組織条例抜粋
(各部の分掌事務)
第二条第5項 刑事部の分掌事務は、次のとおりとする。
一 刑事警察(少年犯罪の捜査を除く。)に関すること。
二 犯罪鑑識に関すること。
三 犯罪統計に関すること。
四 暴力団対策に関すること。
五 薬物及び銃器に関する犯罪の取締りに関すること。
六 国際捜査共助に関すること。

 

○大阪府警察組織規則抜粋
(科学捜査研究所)
第57条 刑事部に、科学捜査研究所を附置する。
2 科学捜査研究所は、大阪市中央区本町一丁目に置く。
3 科学捜査研究所の分掌事務は、次のとおりとする。
(1) 犯罪捜査に関連する鑑定及び検査に関すること。
(2) 法医学の研究及び実験に関すること。
(3) 犯罪の捜査に関連する化学、物理学、光学、心理学等の研究及び実験に関すること。
 鑑定及び検査に必要な技術の研究に関すること。

 

犯罪捜査規範抜粋  (昭和三十二年七月十一日国家公安委員会規則第二号)

 

(この規則の目的)
第一条  この規則は、警察官が犯罪の捜査を行うに当つて守るべき心構え、捜査の方法、手続その他捜査に関し必要な事項を定めることを目的とする。

 

(捜査の組織的運営)
第十五条  捜査を行うに当つては、捜査に従事する者の団結と統制を図り、他の警察諸部門および関係警察と緊密に連絡し、警察の組織的機能を最高度に発揮するように努めなければならない。

 

(警察本部長)
第十六条  警察本部長(警視総監または道府県警察本部長をいう。以下同じ。)は、捜査の合理的な運営と公正な実施を期するため、犯罪の捜査について、全般の指揮監督に当るとともに、職員の合理的配置、その指導教養の徹底、資材施設の整備等捜査態勢の確立を図り、もつてその責に任ずるものとする。

 

(捜査員)
第二十一条  警察官は、上司の命を受け、犯罪の捜査に従事する。
 警察官以外の捜査関係職員が、警察官を助けて職務を行う場合には、この規則の規定に従わなければならない。

※これらの条文から、土橋技官は犯罪捜査規範に従うことは当然であります。

 

  第九章 鑑識

 

(鑑識の心構え)
第百八十三条  鑑識は、予断を排除し、先入観に影響されることなく、あくまでも客観的に事実を明確にすることを目的としなければならない。
2  鑑識を行うに当たつては、前項の目的を達するため、周密を旨とし、微細な点に至るまで看過することのないように努めるとともに、鑑識の対象となつた捜査資料が、公判審理において証明力を保持し得るように処置しておかなければならない。

 

(鑑識基礎資料の収集)
第百八十四条  捜査資料について迅速正確な鑑識を行うことができるようにするため、あらかじめ、自動車塗膜、農薬、医薬品その他品質、形状、商標等によつて分類することのできる物件で必要なものを収集し、鑑識基礎資料として分類保存しておくように努めなければならない。

 

(鑑識資料送付上の注意)
第百八十五条  鑑識のため捜査資料を送付するに当たつては、変形、変質、滅失、散逸、混合等のことがないように注意するとともに、郵送の場合には、その外装、容器等につき細心の注意を払わなければならない。特に必要があるときは、直接持参する等の方法をとらなければならない。
2  重要な鑑識資料の受渡しに当たつては、相互に、資料の名称、個数、受渡年月日及び受渡人氏名を明確にしておかなければならない。

 

(再鑑識のための考慮)
第百八十六条  血液、精液、だ液、臓器、毛髪、薬品、爆発物等の鑑識に当たつては、なるべくその全部を用いることなく一部をもつて行い、残部は保存しておく等再鑑識のための考慮を払わなければならない。
 

 

(鑑定の嘱託)
第百八十七条  捜査のため、死体の解剖、指掌紋又は筆跡の鑑別、電子情報処理組織及び電磁的記録の解析等専門的知識を要する鑑定を科学警察研究所その他の犯罪鑑識機関又は適当な学識経験者に嘱託するに当たつては、警察本部長又は警察署長の指揮を受けなければならない。

 

土橋証人の法廷証言抜粋

 

問  ところで,先ほどの証人の御証言の中で,Sさんの点滴ボトルにシールが巻き付けられてあったということを御証言されましたが,証人は現在,Sさんの点滴ボトルの上部に,シールが巻き付けられるように貼られていた理由を,御存じですか。
土橋証人   知っております。宮城の科学捜査研究所で,臭化物,臭素の予備検査をしたと聞いております。

 

問  では,大阪府警科学捜査研究所のだれかが,宮城県警科学捜査研究所の方に、鑑定嘱託をする試料について,臭素含有の有無について予備試験をやってほしい旨の依頼をしたことがありましたか。
土橋証人   いや,ありません。

 

問  では,大阪府警科捜研が宮城県警察科学捜査研究所に対し,鑑定試料をしぼってほしいという依願をしたことがありましたか。
土橋証人   次から次に試料を持ち込まれそうなので,しぼってほしいと言ったことはあるかも分かりません。

 

問  今,証人は鑑定試料についてしぼってほしいというようなことを言ったかもしれないと,そういう趣旨の御証言をされましたが,どうしてそういった依頼をしたかもしれないと言えるのですか。
土橋証人  平成12年の12月のころというのは,私どもの科学捜査研究所の毒物の鑑定というのは,非常に忙しかったわけです。それで,そういう忙しい時期に宮城県の科捜研から筋弛緩薬の鑑定嘱託がきました。当初,私は鑑定嘱託,鑑定試料が1点だと思っていたのが,4点も持ってこられたので,今後,試料があるならばしぼってほしいと,そのようなことを,多分,忙しかったから,言っていると思うからです。

 

問  では,本件各鑑定の対象となった鑑定試料のうち,Sさんの点滴ボトルの次に,宮城県警察から受け取った鑑定試料は,何でしたか。
土橋証人  Mちゃんから採取されたという血清です。

 

問  Mちゃんから採取されたという血清については,これからは便宜上Mちゃんの血清と言ってお尋ねすることにしますが,Mちゃんの血清を大阪府警科捜研が受け取ったのは,いつでしたか。
土橋証人  平成13年の1月の24日でした。

 

疑問1,臭素含有の予備試験をやってほしいという依頼はしたことが無い。と証言しているが、仙台地裁判決文47・48頁では、大阪府警から依頼したと記載されておることは明らかに矛盾している。

 

疑問2、当時、毒物の鑑定は非常に忙しかった、しかも1点だと思っていたのが4点も持ってこられたという状況の中でなぜ依頼もされない、しかも特定されていない毒物の分析までおこなったのか。これも矛盾している。

 

問  ではさらにそのGC/MSは,それが1回だけの量としてお聞きすれば いいのか,GC/MSとして複数回やったトータル量をまとめておっしゃったのか,これはいずれですか。
土橋証人  GC/MSとしてトータル量です。

 

問  複数回GC/MSの分析としてもなさっているわけですね。
土橋証人  いや。GC/MSは1回です。

 

問  1回に注入した量,とお聞きすればいいわけですか。
土橋証人  いや。1回は数マイクロしか注入しません。

 

問  残りはどうなりますか。
土橋証人  残りは,ですから数マイクロありますけれど,誘導出したもの残しておいてもしょうがないから,いっも分析終わったら放りますけど。薄層はもう全量使用してます。

 

問  今,放ります,とおっしゃったのは,余りは捨てるという意味ですか。
土橋証人  そうです。

 

問  それを取っておいて,再鑑定のために使う試料にしよう,ということは考えないわけですか。
土橋証人  分解等しますので,置いておいても,正確な検査ができるとは考えられませんので,そういう考えはあまりしません。

 

問  そこまで手を掛けてしまったものは,保存しておく意味があまりないということですね。
土橋証人  はい。

 

疑問3、土橋技官は、再鑑定に試料を取っておくという考えは無く捨てると言うことを証言しているが、科捜研の職員しかも「日本鑑識科学技術学会」に所属しているが、犯罪捜査規範を無視して本当に捨てていたのか、むしろ証拠を隠滅したのではないのか。

 

 

 

問  昨日の御証言で,他の薬毒物の分析についても,証人としては宮城のほうで当然やっておって,ベクロニウム,スキサメトニウムについての分析の依頼が来たんだと,常識的にそうだろうと思っていたところ,薬物毒物の分析は特に宮城では行なわずに,即大阪のほうに依頼されてきたんだということが分かった,という話がありましたね。このことが分かったのは12月14日,Aちゃん,K君等の試料については12月14日の段階だったということでよろしいですか。
土橋証人  そうですね。そのぐらいだったと思います。

 

問  そうしますと,12日に受け取られて,14日にそういった,宮城では他の薬毒物の分析を特にやっていないということをお知りになるまでの間は,試料,そのベクロニウム等の筋弛緩薬の分析に使った残りはどうするつもりでしたか。
土橋証人  ・・・それは,残れば宮城に返すこともできますし。電話して相談することになります。

 

問  通常証人がなさる鑑定作業の中で,依頼された嘱託事項に答えるのに必要な量を
使って分析をした後,試料の残量が出れば,これをどうするかということをその依頼元に確認するわけですか。
土橋証人  いや。我々通常行なっているような署との,大阪の中では警察署との鑑定嘱託の関係ですけれど,宮城の場合はよその県でもありますので,確認したということです。

 

問  よその県なので確認したであろう,ということですね。
土橋証人  はい。

 

問  12月14日の段階では,まだK君とAさんの鑑定試料しか証人の手元には届いていない時期だったと思うんですけれども,その後,Sさんの関係,Kさんの関係,Aさんの関係と,さらなる嘱託がなされる際には,今証人がおっしゃっていた薬毒物の分析というのを,その部分は宮城のほうでもできるだろうからやってくれないかと,こちらはベクロニウム等の分析だけをやるからと,こういう話にはならなかったんですか。
土橋証人  ならなかったと思います。

 

問  それはなぜですか。
土橋証人  やはりこちらのはうがいろんな装置持ってるからではないですか。こちらのほうがきっちりした分析ができると判断したと思います。

 

問  そうすると,これも昨日の御証言では,鑑定嘱託事項にはうたってはいないけれども,その他の薬毒物の鑑定も大阪のほうでお願いするというようなことが宮城のYさんのほうから言われた,という話がありましたが,これは今のその時系列でいいますと,その3点目の12月20日にSさんの関係のボトルを受け取るよりも前のことですか,それとも後のことですか。
土橋証人  前のことです。

 

問  それなので,その後届いたものもすべて大阪のほうで薬毒物の鑑定をなさったと。
土橋証人  そうです。

 

問  さて,で,薬毒物の鑑定も併せてやることになったというのはよく分かったんですが,一方で,その鑑定においては,そもそも,鑑定試料がすべて量が尽きるまでできる限りの他の薬毒物の分析を行なう,という方針が最初から立てられていたんでしょうか。
土橋証人  我々が普通いわゆる薬毒分析をするものを十分に,分析デザインという言葉昨日使いましたですけれど,それで考えたところ,全量使ったということです。

 

問  分析デザインについては,細かい確認で恐縮ですが,その宮城のほうで他の薬毒物の分析やってなくて,これも大阪で併せてやらなければいかんという話になった後でそのデザインは確定するわけですわね。
土橋証人  はい。

 

問  で,そのデザインを描く段階で,これは全量使うことを前提に割り付けをしていったというふうにお聞きしていいわけですか。
土橋証人  ええ。全量使うのに割り付けしたんじゃなしに,こういう装置でこういうことをしようとすればなくなった,ということです。ですから,まだやりたい検査というのはたくさんあるわけです。しかし,優先順位で付けていくと,今回の分析になった,ということです。

 

問  それは,鑑定試料ごとにデザインを個別に検討なさってるということですね。
土橋証人  そうです。

 

問  そうしますと,今の御説明だと,結果的に全量がそれで消費されることになった,という説明になるかと思うんですが,そうなる,つまり大阪のほうで引き受けた分析をやっていくと鑑定試料は残らないことになる,というそのデザインが決まった段階で,そのこと自体は宮城の科捜研,あるいはYさん,だれでもいいですけど宮城のほうの担当者のほうに伝えておりますか。
土橋証人  伝えております。

 

問  それに対して,宮城のほうの担当者はどのような意見を述べましたか。
土橋証人  やむを得ないでしょう,ということです。

 

問  そうすると,一部残してほしいというような要望は宮城のほうからなかった,ということですね。
土橋証人  はい。

 

 

 

疑問4,全量消費は、宮城県警と話し合ったということは、協同して証拠隠滅を行ったことが明らかではないか。

 

問  そうしますと,これも理屈の話かもしれませんが,最終的にいろんな分析をしていくと鑑定試料が残らなくなるということは,まず証人,あるいはNさんのそのデザインを設計する段階で決まり,で,宮城のほうにも確認をして了承を得たということで最終的に決まった,とお聞きしていいですか。
土橋証人  はい。

 

問  大阪府警の科捜研の証人の上司等の了解というのは特に求めないで進んだわけですね。
土橋証人  そうです。

 

問  ちなみに,その宮城の担当者に確認をなさった際に,元々の鑑定試料を宮城県警に任意に提出なさった提出者の方が,その試料の処分についてどのような意見を述べておられたか,こういった情報は併せてお聞きになってますか。
T証人  いや。聞いていないです。

 

問  証人のほうから確認もなさってないですか。
土橋証人  していません。

 

問  そうすると,宮城の依頼元のほうは,12月14日ころには大阪のほうにお願いする,少なくともAちゃん,K君の試料については,残りが出ないことを知り得た,ということになりますね。
土橋証人  宮城の。

 

問  宮城の担当者の方は。
土橋証人  はい。そうです。

 

問  で,その後のSさん,Kさん,Aさんの試料についても,それぞれもう受け取る段階で,残りは出ないということをその都度宮城のほうには伝えたんでしょうか。
土橋証人  いや。それは覚えてないです。

 

問  ただ,当初に受け取ったものがそうであったので,その後も当然,残りは出ないという前提で,宮城のほうからそのことについての疑問の問い合わせ等はなかった,ということでいいですか。
土橋証人  はい。

 

問  証人が通常なさる,大阪府警からの嘱託に基づく鑑定においてなさるその消費の仕方と,今回の他府県である宮城県からの依頼とでの違いは,薬毒物の分析について行なうことが決まる前は,残れば残ったものをどうしますかと聞くつもりだった,というお話でしたが,大阪府警の中ではそういうことは特になさらないんですか。
土橋証人  しないですね。残れば黙って返しますし。相談なんかしないです。

 

問  そうすると,宮城の場合に相談するというのは,黙って返すんではないというのは,何か特別な意味はありますか。
土橋証人  いや。相談するというんでなしに,毒物分析をこちらでやると,それで全量消費になるということを,相談でなしに,そういうような電話でのやり取りですので。

 

問  結果的になされたやり取りはそうだったということですかね。
土橋証人  はい。ただ,宮城の捜査本部からじゃなしに科捜研について来ておりますので,科捜研のほうにそのように話をしたということです。

 

 

 

疑問5、大阪府警の毒物分析で残ったものは黙って返すと言っていながら、宮城県警は毒物分析をやると全量消費になるということも矛盾している。

 

問  直接話なさったのは科捜研の担当者ですね。
土橋証人  我々のところはもう,そういう真ん中に何も入らないで直,警察署とか捜査本部とかそういうところから来ますので。

 

問  証人のもとに届く様々な試料の中には,再度入手することが比較的容易な,いわゆる対照用の試料というものもあるかと恩うんですが,そういったものと,それから再度入手することが恐らく不可能,困難な,現場で採られた試料とで,その一部を残すべきかどうかということの判断が違うかどうか,この点はいかがでしょうか。
土橋証人  どういうことですか。

 

問  再度入手することが容易な試料であれば,ある人の血液とかですね,またもらいに行けばいい,というようなことであれば,それは全量消費してもまた手に入るかと思う.んですけども,そういった入手が可能な,容易な試料と,現場で1回限り採取された現場試料とで,試料の一部を残すべきか,それともそういうことを考えずに全部使っていいかという判断に違いはありますか。
土橋証人  あまりないんですけれど。再度入手できても,そのときに採った血液というのは,もうその血液だけですから。2回目のときは状態も変わってますし,それは同じ試料とは言えないと思います。

 

問  化学的にはね。そうすると,昨日から何度かお聞きしているんですが,証人は再鑑定の可能性への配慮は特にはなさらなかった,ということでいいんですね。
土橋証人  そうです。

 

問  犯罪捜査規範の186条というのを御存じですか。
土橋証人   聞いたことあります。

 

 

 

疑問6,「聞いたことがあります。」ではなく知っているということではないでしょうか。土橋技官が大阪府警に採用されたのは、分析等の技術者であることから採用されたもので、当然科学捜査研究所に勤務するようになれば、最初の教育で「犯罪捜査規範」を教育されることは基本的なことであることから、聞いたことがあるとは、しらじらしい証言としか言いようがないのではないか。
   現在の経歴(日本鑑識科学技術学会・日本法中毒学会・日本医用マススペクトル学会・日本薬学会環境・衛生部会等)

問  そこには,なるべくその全部を用いることなく,一部をもって行ない,残部は保存しておくなど,再鑑識のための考慮を払わなければならない,というぎふうにうたってあるわけなんですが,このルールとその証人の鑑定におけるスタンスとは。
検察官
   裁判長,犯罪捜査機関の効力が証人に及ぶのかどうか,その点についてまず論証しなければ,今の質問は不適当と考えます。少なくとも犯罪捜査機関の主体は警察官となっております。
裁判長
  御意見があれば。

 

主任弁護人
問  質問変えます。そのようなルールがあることは御存じですね。
土橋証人  はい。

 

疑問7,ここで検察官は、「裁判長,犯罪捜査機関の効力が証人に及ぶのかどうか,その点についてまず論証しなければ,今の質問は不適当と考えます。少なくとも犯罪捜査機関の主体は警察官となっております。」と土橋証人の鑑定試料の全量消費を正当化しようと詭弁を使っております。根拠は、刑事事件を担当する検察官が、犯罪捜査規範を知らないなどと言うことは、あり得ないからです。

 

 ※ 犯罪捜査規範
   第21条 警察官は、上司の命を受け、犯罪の捜査に従事する。
   第2項 警察官以外の捜査関係職員が、警察官を助けて職務を行う場合には、この規則の規定に従わなければならない。

問  それにもかかわらず,再鑑識のための可能性は証人の立場ではまった配慮なさらなかった,ということでよろしいんですね。
土橋証人  はい。やはり分析に必要だったからやっただけ,分析して,それがやはりそれだけの量がいるのでしただけで,十分な量があれば,これは返却はするべきだと思いますし。ただ十分な量がなかったということですね。例えば,Mちゃんの血清中の濃度は6.何ナノグラムだと思ったんですけれど,それでスキャンでの検出限界というのが,昨日選択反応の検出限界言いましたですけれど,大体3本ぐらい確認できるのが5ナノグラム。そのぐらいが検出限界だと我々は考えております。そうすると,その血液を半分に割って鑑定すれば,ベクロニウムは検出されないということになります。ですから,保存してあったものからも検出されない,というのは,今我々が持っているそういうLC/MS/MSというのが最も感度の良い同定法であると,それで検出されないということは,どの装置を使っても検出されないということです。ですから,たまたまこういうも甲は結果論ですけれど,1ミリリッター使ったから出てきたのであって,それが半分であれば出てこないということであります。するとMちゃんのベクロニウムは永遠に証明されないことになります。たまたま結果論ですが,そういうことになっていくわけです。ですから,やはり全量使って,生体性は全部使ってするということは非常に,私は重要なことだと思います。

 

問  今証人は結果論というふうにおっしゃったんですけれども,試料の一部を使って分析をした段階で目的が達せられれば,少なくともベクロニウム等の筋弛緩薬の含有の有無という鑑定嘱託事項に答える目的は達するわけですよね。
土橋証人  はい。

 

問  で,その余りを残しておいて再鑑定に提供するか,それとも証人が先ほど来おっしゃっている,他の薬毒物の鑑定を行なうか,どちらがより目的として重要か,ということになるかと恩うんですが,証人は後者を優先するというお考えなわけですね。
土橋証人  そうです。

 

問  他の薬毒物が混在していたのではないかということが後で争われると,またそれもやっかいなことになるので,やはり考えられるものを尽くして調べるんだという趣旨のご証言,昨日ありましたよね。
土橋証人   はい。

 

問  しかし,再鑑定等で後に分析できるような試料を残しておいても,その目的は達せられるんではないですか。
土橋証人  例えば,弁護人さんが鑑定するときに,自分の鑑定に出てこなかったものが何箇月かたってはかの人から鑑定で出てきた場合,やはりあんまり鑑定人としてやはり,大きな事件であればあるほど,社会的な風当たりとか,ミスであるとか,そういうことで突き上げられると思うんですよ。

 

問  今おっしゃった点は,鑑定嘱託事項に書いてあることを行なわなかったりすれば当たる批判かな,とは思うんですが,そうではなくて,鑑定嘱託事項は最低限きちっとした鑑定を行なっておれば,そういった批判自体がそれは不当なのではないですか。
土橋証人  いや。そういうことではないと思います。やはり科学者として,やっぱりほかのところにどうして目が行かなかったんだ,ということは必ず批判されると思います。それで,例えばベクロニウムだけやっていて,分析していても,昨日も証言しましたですけれど,なぜそうするとベクロニウム以外はしなかったんだという,こういう場で必ずそういう争いが毎回あるんです。必ず,優秀な弁護人であれば弁護人であるほど,ベクロニウム以外にはなかったのか,というような争いになってくると思います。ですから,他の薬毒物分析というのは必ず必要なんです。

 

問  ちょっと言葉を変えてその趣旨をお聞きしますと,そうすると,証人の鑑定の信びょう性なり,あるいは証人の鑑定人としての社会的な評価なりのためにこの薬毒物を鑑定したということですか。
土橋証人  そういう意味ではないです。そういう意味ではないですけど,そういうことあるということを言っていたんです。

 

 

 

疑問8,土橋証人は、全量消費の理由を「ベクロニウム以外にはなかったのか,というような争いになってくると思います。ですから,他の薬毒物分析というのは必ず必要なんす。」と証言しているが、宮城県警で依頼した鑑定の目的を無視し、土橋技官の個人的理由を使って全量消費を説明しているが、この様な証言を大阪府警、宮城県警が黙認したとすれば、大阪府警、宮城県警が組織的に証拠隠滅を黙認したと言うことではないでしょうか。

 

 

2012年12月19日 (水)

ベクロニウムの分子量は、557.82で、m/z279(分子イオンにプロトンが付加した2価イオン)のイオンであります。

この事件で有罪とされた唯一の証拠とされる大阪府警察本部科学捜査研究所で検出されたベクロニウム(筋弛緩剤マスキュラックスの主成分)を質量分析した結果、m/z258のイオンが検出されたとされているが、

 

弁護団は、m/z557(1価の分子イオン)かm/z279(分子イオンにプロトンが付加した2価イオン)のイオンが検出される。したがって大阪府警の検出したものは、ベクロニウムではないと主張しました。

 

仙台高裁判決文5ページから9ページ

 

(2)本件各鑑定自体の評価
   本件各鑑定を行った土橋吏員及び西川吏員は,本件各鑑定を行うための十分な学識と経験を有しており,その研究成果に基づき本件各鑑定もなされているもので,原判示のとおり本件各鑑定の手法,過程,及び結果に疑問とする点はなく,本件各鑑定は合理的で妥当なものとして是認できるのであり,所論指摘の点を検討しても,これが左右される点は認められない。
(3) 外国論文4点及び鑑定意見書について
   弁護人は,ベクロニウムの質量分析に関する外国論文4点(当審弁52ないし55)及び福岡大学医学部医学教室教授影浦光義作成の鑑定意見書(=影浦鑑定意見書)(当審弁56)に照らし本件各鑑定結果が信用性がない,と証拠意見する。すなわち,本件各鑑定は,m/z258をプリカーサイオンとしているが,標記外国論文4点によれば,ベクロニウムをLC/MSないしLC/MS/MSで質量分析した場合,ベクロニウムの分子量約557から導かれるm/z557(1価の場合)かm/z279(2価の場合)のイオンが検出され,m/z258のイオンが検出されたとする記載がない,ベクロニウムの分子量からみて,m/z258その他のイオンが検出されたとしても,そのことが当該イオンがベクロニウムに由来するとはいえない,したがって,鑑定資料から検出したイオンm/z258等を根拠として,その資料にベクロニウムが含まれていたと判断することはできない,などというのであり,また,影浦鑑定意見書によれば,影浦教授も本件各鑑定においてm/z258のイオン及びそのプロダクトイオンの出現から,これをベクロニウムであるとしたのは間違いであるとした上,西川,土橋吏員らの論文では,何故構造の類似したベクロニウムとパンクロニウムが異なった機序でイオン化するのか納得し得る科学的根拠が見いだせない,などとしていることからみて,本件各鑑定書には信用性がないと証拠意見するのである。

 

 しかしながら,土橋吏員の証言(第23回)によれば,LC/MS/MSにおいては,分析の過程で電圧,カラムなどの分析条件や使用器具に関し同じ条件で分析すれば,検出されるイオンの種類,発現時間は同一になるが,条件が変われば結果も変わるというのであるから,分析条件に関わらず分子量関連イオンが必ず検出されるといえない。
  土橋吏員らの分析方法は所論指摘の日本法中毒学会の雑誌「法中毒」1999年5月号に,「パンクロニウムとベクロニウムの分析方法」(=西川・土橋論文)(当審弁51)として掲載,発表されているのであり,本件各鑑定もこの手法によるものであるが,影浦鑑定意見書が指摘するまで,これが誤りであるとの指摘がなされてきたことがうかがわれず,その再現性,有効性が承認されてきたことがうかがわれる。
  
そして,土橋吏員らは,薬毒物の鑑定は年間150件くらい行い,これまで筋弛緩剤の鑑定は15件,資料の点数にして50点くらいの経験があり,うち生体資料の鑑定は10件くらいで,筋弛緩剤が検出された例は3件くらいあるというのであり,その薬毒物分析の実務経験を通し,LC/MS/MSの特性を踏まえた最良の分析条件と思われる条件を把握しており,これを生かしながら,分析装置及び分析条件を同一にして,鑑定資料を分析する郁度標品のベクロニウムについても分析をする必要性を強調した上,同一条件で,標品のベクロニウムで検出されたイオンの種類,発現時間と試料のそれとを対照して同一性の判定をしているのであり,べクロニウムからm/z258のイオンが出現していることを疑う理由はない。         
  なお,土橋吏員の証言(第24回,第25回)によれば,本件各鑑定において,各鑑定資料からベクロニウムの未変化体が分離・検出されていることが認められるから,m/z258のプリカーサイオンが,本件各鑑定資料中に存在したベクロニウムの脱アセチル化した変化体に由来するものでないことは明らかである。
 
これに対し,影浦鑑定意見書は,前記のとおりの意見を提出しているのであるが,影浦教授がこれまでどの程度ベクロニウムの分析経験を有するのか不明であるばかりでなく,添付資料から見て,その試験条件について,その装置が西川・土橋論文ないし本件各鑑定書と同様の装置を用いたか不明であり,分析条件が異なることは明らかである。影浦教授が,構造の類似したベクロニウムとパンクロニウムが異なった機序でイオン化するのを納得し得る科学的根拠が見いだせないからといって,西川・土橋論文が分析条件を呈示し,ベクロニウムであることが疑いようがないベクロニウム標本からm/z258のプリカーサイオンを得ているのに,同様の装置及び分析条件を用いてその再現性を確認しないで,自己の分析試験から西川・土橋論文の手法,結果を非難するのは一面的であり,本件各鑑定の信用性を損なうものとはいえない。
  さらに,外国論文4点は2000年以降に公表されたものであり,そのうち2000年に公表された当審弁55の論文は,ベクロニウムの検出についてはその代謝産物である3―デスアセチル―ベクロニウムを検出する方法が数件報告されているのみであるという時点のもので,ベクロニウムについて二価イオンを記載しているものであり,2002年以降公表された残る3論文は,ベクロニウム等の4級窒素筋弛緩薬について,いずれも6種類,7種類,8種類の多種類の筋弛緩薬を抽出し検定,あるいは検定,定量する方法を開発したとするものであって,そのうち,例えば,当審弁53によれば,4級窒素筋弛緩薬の抽出は困難であるとされ,文献報告された分析方法のほとんどは1ないし2種類の化合物を抽出するのに適した条件で実施されているが,同論文著者らは,7種類の4級窒素緩弛緩薬の一般的な抽出方法による検出方法を見付けたとし,当審弁52,54も同様の指摘や成果を報告しているのであり,これらの記載からも1ないし2種類の化合物を抽出するのに適した分析条件とは異なることがうかがわれるのであり,その実験条件の記載をみても,土橋吏員らのそれと同一ではないし,外国論文4点もベクロニウムからm/z258のイオンが出ることを否定しているわけでもない。
  さらに,外国論文4点及び鑑定意見書においては,ベクロニウムについてはm/z557ないしm/z279のイオンのみが検出されているが,上記各外国論文によっても他物質についてではあるが分子量関連イオン以外に分子の一部が開裂したイオンが検出されている例も見受けられるのであるから,分子量関連イオンのみが必ず検出されるといえないことは明らかである。
  また,外国論文4点及び影浦鑑定意見書の試験結果でも,フラグメントイオンには本件各鑑定と同様の249,356,398,416の1つまたは3つが出ているところ,弁護は,そのようなフラグメントイオンが出ていても,プリカーサイオンのm/z258が何に由来するか分からないから,ベクロニウムとはいえない,というが,本件各鑑定においては,ベクロニウムの標品自体からm/z258のイオンが出されて上記及び374のフラグメントイオンが出ており,本件各鑑定資料がこれと同様のプリカーサイオンで同様のフラグメントイオンを呈しているのであるから,ベクロニウムと認定した本件各鑑定に何ら信用性を疑う点はない。
  したがって,外国論文4点及び影浦鑑定意見書におけるLC/MS/MSないしLC/MSと分析条件等が異なることが明らかな本件各鑑定において,ベクロニウムの標品からm/z258のイオンが検出されたことが,不合理であるなどということはできないのであり,外国論文4点及び影浦鑑定意見書は本件各鑑定の信用性を左右するとはいえない。・・・・・・・・・・

 

 

 

この様に、土橋吏員は鑑定経験が豊富だが、影浦教授はどの程度経験があるか分からないから、土橋吏員の言っていることが正しいと認識して

 

さらに、「土橋吏員の証言(第23回)によれば,LC/MS/MSにおいては,分析の過程で電圧,カラムなどの分析条件や使用器具に関し同じ条件で分析すれば,検出されるイオンの種類,発現時間は同一になるが,条件が変われば結果も変わるというのであるから,分析条件に関わらず分子量関連イオンが必ず検出されるといえない。」と言うことは、科学とは何なのか全く理解していない裁判官の認識を露呈している。

 

分析して出てくる数値は、分析方法が正しければ誰が行っても同じ物質なら同じ数値であることは、科学の基本であることです。だからこそ原子量、分子量は、世界中どこでも同じ質量であるのです。裁判官は科学の基本すら理解していないことを露呈して有罪にしたのです。

参考までに、マスキュラックスの製造会社の臭化ベクロニウムの分子量は、637.73であります。  分子式は C34H57BrN2O4 です。

 

臭素の分子量(79.904)を除くとベクロニウムの分子量は557.82となります。

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