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2010年4月 7日 (水)

「真実のカルテ」の真実とは?(1)

最近、半田康延氏責任編集で、「真実のカルテ」という本が出版されました。
副題に「仙台・筋弛緩剤事件 北陵クリニックで何が起きてたか」というので、どんな真実が書かれているか読んでみました。
至る所に疑問を感じながら読みましたが、次の3カ所については疑問というよりこれが事実なら、どんな医療が行われていたか恐ろしい思いで読みました。

 

「真実のカルテ」P29
・・・・・・
北陵クリニックでは基本的に
「挿管はしません」
「そういう治療を望まれるなら、他の病院をご紹介します。」
で通してきた。
誰も挿管できる医師がいなかったし、そういう必要性のある患者さんも、ある時期まではまったくいなかった。また、人工呼吸器もないのだ。・・・・・・

 

気管挿管を治療と表現しておりますが、気管挿管は「確実な気道確保」と「誤嚥の防止」などのため行われるもので、意識レベル低下で昏睡状態、特に心肺停止患者や、全身麻酔の手術の場合に人工呼吸管理を行う場合に行うものです。

 

したがって、患者さんから気管挿管を望むかどうか聞くなどとは全く想像も出来ません。つまり、気管挿管は疾病を治す治療ではないことを、全く理解していない医師だということをみずから明らかにしたのです。

 

 

 

「真実のカルテ」P39・40
・・・・・・
平成三年十月一日開院以後、平成十一年まで、北陵クリニックでなくなられた患者さんは、ただ一例、平成九年七月のYさんだけだった。
Yさんは、神経難病の末期の方だった。大病院でいろいろな装置に囲まれた、いわゆる「スパゲティ症候群」になるよりは、娘さんの自宅に近い北陵クリニックで、最期を迎えさせてあげたいという、ご家族の選択による転入院だった。
・・・・・

 

次の論文は、日本ALS協会(ALSは、英語名(Amyotrophic Lateral Sclerosis)の頭文字をとった略字で、日本名は筋萎縮性側索硬化症であります。)が、平成7年度に助成金(80万円)を交付した研究報告の論文の一部です。

        筋萎縮性側索硬化症に対する治療的電気刺激の効果

 

                                            半田 郁子(北陵クリニック)
はじめに
筋萎縮性側索硬化症(Amyotrophic LateralSclerosis : ALS)は、通常中年以降に筋萎縮・筋力低下により発症し、脳・脊髄にある中枢性運動ニューロンと、脊髄前角にある末梢性運動ニューロンが選択的に障害される。症状はつねに進行性であり、全身の骨格筋が障害され、さらに球麻痺・呼吸障害を合併する。その成因に関しては、種々の研究がなされているがいまだ定説はない。ALS に対して、これまでにビタミン剤、ATP 製剤をはじめとして、蛋白同化ホルモン・ステロイドなど多岐にわたる治療法が試みられており、現在もRiluzol 1)、神経栄養因子2)-4)などの治験が行われているが、有効な治療法が確立していないのが現状である。
我々はこれまで、脳血管障害や脊髄損傷などのが現状である。
我々はこれまで、脳血管障害や脊髄損傷などの中枢性運動ニューロン障害による萎縮筋に対して、貫皮的筋内埋め込み電極を用いて治療的電気刺激(Therapeutic Electrical Stimulation : TES) を行い、痙性の軽減や筋萎縮の改善、関節可動域の
拡大、随意性の向上などの効果を認め、報告してきた5),6)。また、末梢性運動ニューロン障害である腕神経引き抜き損傷における不全麻痺例でも、TES により筋萎縮の改善と筋力の増強を認めた例を経験し、報告している6)-8)。しかし、ALS は神経変性疾患であり、その筋萎縮はつねに進行性で不可逆的であるため、電気刺激の有効性については全く論議されておらず、ALS に対する電気刺激治療に関する報告はこれまでのところ見あたらなかった。
今回我々は、26 例のALS 患者の四肢の筋に対して、その筋萎縮の進行抑制を目的としてTESを行い、その効果を評価・検討したので報告する。
対象
対象はALS 患者26 例で、うち男性19 例、女性7 例であった。年齢は37 ~ 87 才(55.7 ± 9.8 才)、平均罹病期間は3 年4 カ月(9 カ月~ 12 年4 カ月)、厚生省特定疾患調査研究班による重症度分類ではstage3 ~ 7 であった。TES を行った期間は3 カ月~最長2年6カ月で平均1年4カ月であった。
患者およびその家族ともALS であることを告知されており、その予後についても説明を受けていた。さらに患者・家族には、電気刺激治療に関して、手術に伴う危険性、TES 療法を行う上での利点や問題点、および患者によってTES の有効性が異なり前もって予測できないことについて詳しく説明を行い、同意を得た。
方法
表1 に示す四肢の筋および神経に、我々の開発した貫皮的筋内埋め込み電極(sus316L ステンレス電極, 日本精線, 大阪)を、刺激電極として用いた9)。これは25μのステンレス・スチールワイアーを19 本撚りのロープにし、テフロン被覆後コイル状にしたものである。刺激装置には、我々の開発したコンピュータ制御多チャンネル刺激装置(FESMATE1000, NEC メディカルシステムズ, 東京)を用いた10)。刺激波形は、パルス幅0.2ms の負性矩形波であり、刺激周波数は20Hzに固定され、電圧振幅を0 ~-15V の間で変化させることにより、筋の収縮力を変えることができる11)。また刺激は、25 秒刺激10 秒休止の周期性の刺激で、筋収縮が自動的に惹起されるようにした。
刺激電極の刺入留置は、全身麻酔あるいは局所麻酔下で施行した。術後一定期間の静ののち、1 回5 分1 日3 回から刺激を開始、徐々に刺激時間・刺激回数を増加し、1 回5 ~ 10 分1 日6 回TES 訓練を行った。
電気刺激治療を行う前後に、筋力・握力・二次元および三次元動作解析・筋電図・骨格筋CT などにより評価を行った。筋力は、Daniels による徒手筋力評価(manual muscle test : MMT)および徒手筋力測定評価器( MICRO-FET, Hoggan HealthInd. USA)にて測定した12)。動作解析および痙性評価のための膝関節振り子試験(pendulum
test)には、二次元動作解析装置(QUICK MAG, 応用電気計測所, 東京)および三次元動作解析装置(APAS Ariel, Trabuco Canyon, CA, USA) を用いた。
TES 開始後1 カ月間は入院にて経過観察し、その後は外来で評価を行った。
筋力および骨格筋CT 断面積に関しては、検査機器および測定上の誤差を考慮に入れ、TES 前の値を100 %として105 %以上を増加、95 %以上105%未満を維持、95%以下を減少とした。
26例中4例が経過観察中に呼吸不全にて死亡しまた6 カ月以上長期観察した症例は11 例であった。
(以下省略します。)

 

半田郁子医師は、北陵クリニック開院以来常勤で勤務していました。

 

北陵クリニックでなくなられた患者さんは、平成3年10月1日開院以後、平成11年までただ1例、平成9年7月のYさんだけだったと掲載されています。

 

さらに「真実のカルテ」P211では、
・・・・・・本文中(39ページ)にもあるように、守准看護師が勤務する前の開院後の八年間での死亡例は、家族も含め自ら北陵クリニックで息を引き取りことを希望した方が平成九年七月二日に亡くなっている一事例のみである。・・・・・・

 

この記載は、半田康延氏が書いた第二部解説の中で「守大助さんが勤務する前と」明らかにしていますが、守大助さんが北陵クリニックに就職したのは、平成11年2月1日です。4人の死亡は平成7年度の研究報告に記載されているのです。平成7年度に研究報告したこの論文にある死亡した4人は、北陵クリニックでなければ、いつ何処で手術をし、どこで経過観察をし、どこで死亡したのか明らかにすべきです。

 

また、P29に記載されている「挿管できる医師がいなかった、人工呼吸器もなく」という状態で全身麻酔で手術を行った時の呼吸管理は、どの様に行われていたのか理解できません。

 

半田郁子医師は、上記の論文の中で、全身麻酔あるいは局所麻酔を施行して手術を行う研究を報告をしているにもかかわらず、仙台地方裁判所の判決文の217ページに仙台市立病院で半田郁子医師が筋弛緩剤を尋ねられた状況を記載していますが、―瞬ピント来ず,「えっ,筋弛緩剤と言いますと。」と筋弛緩剤を知らなかった様子で「サクシンならあります。手術のときに使っています。」この様な回答はサクシン(筋弛緩剤)を何のために手術で使っていたのか、疑問があります。

 

 

 

仙台地裁判決文P217                                     ・・・・・・当初,筋弛緩剤のことを直接に尋ねるつもりはなかったものの,郁子医師に対して,筋弛緩剤を北陵クリニックにおいて使用しているかどうか尋ねた。これに対して,郁子医師が―瞬ピント来ず,「えっ,筋弛緩剤と言いますと。」と聞き返したためN医師が「例えばサクシンとかミオブロックとか。」と商品名を挙げて説明したところ,郁子医師は「サクシンならあります。手術のときに使っています。」と答えた。・・・・・・・・

 

半田郁子医師は、筋萎縮性側索硬化症に対する治療的電気刺激の効果の研究報告書の中で「全身麻酔あるいは局所麻酔下で施行した。」と記載しておりますが、その時筋弛緩剤を使ったのか使わなかったのか、全身麻酔の時、呼吸をどの様にして確保したのか明らかにすべきです。

 

この論文を読んでいて思うことは、半田郁子医師が、本当にこの研究をみずから行ったのか疑問が増すばかりです。

 

 

 

 

 

 

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