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2008年1月23日 (水)

検察官の論告の矛盾は冒頭から。

論告要旨(3頁から5頁)

   1 I医師及びH教授が北陵クリニックにおける容体急変患者の発生に不審を抱いた経過等及びその後の対応
   当時北陸クリニックの副院長兼小児科医師であったI医師は,平成12年10月31日,北陵クリニックで自ら処方した薬剤をA子に点滴投与中,同児が容体を急変させて呼吸停止状態に陥ったため,同クリニックでの対処が困難であると判断し,同児を仙台市立病院に救急転送させるに至った。
 I医師は,同児が容体を急変させた原因を検討したが,医学的に原因を解明できなかった。そこで,I医師は,同年11月7日,救急転送先の仙台市立病院の小児科Yに電話し,A子の症状及び想定し得る容体急変原因を尋ねたところ,同医師から,同児の症状について,重篤で意識が戻らない状態で,意識が戻ったとしても重大な後遺症が残る旨を伝えられるとともに同児の容体急変原因は,仙台市立病院における諸検査等によっても,その原因疾患が発見されず,容体を急変させ呼吸停止状態に陥った原因を解明できない旨の説明を受けた。そのため,I医師は,同児が北陵クリニックで診療を受けている間に何らかの毒物を投与された可能性があるとの不安を抱き,さらに北陵クリニックでは同児が容体急変する以前にも多くの患者が同様の容体急変を起こしており,特に平成12年1月以降,容体急変患者が増加していることに気付き,それらの患者にも何らかの毒物が投与されたとの疑念を抱いた。
 そこで,I医師は,同日,北陵クリニックで保管中の診療録のうち,診療中に死亡した患者10名及びその時点で把握していた死亡には至らなかったものの容体を急変させた患者4名の各診療録を自宅に持ち帰り,以後,それら患者が死亡,あるいは容体を急変させた状況やその際に当該患者の看護に関与した職員などを検討し,その結果を書面に記載するようになった。
  I医師は,その検討過程で,北陵クリニックで診療中に死亡,あるいは容体を急変させた患者は,1名の死亡患者を除き,いずれも,点滴投与中又は点滴投与直後,あるいは点滴投与のための血管確保中のいずれかで容体を急変させ,それらの患者の容体急変と点滴処置との間に関係があるとうかがえる状況である上,それらの患者の容体急変原因は医学的に説明困難で,大半の患者の容体急変時の症状に突然の呼吸停止あるいは顔面チアノーゼの発現という共通点があり,A子の容体急変以前に死亡,あるいは容体急変した患者の看護に被告人だけが共通して関与していたことが判明し,しかも,A子の容体急変も点滴投与中で,その処置を行ったのは,当日の当直勤務であった被告人であることから,A子,あるいはそれ以前に北陵クリニックで診療中に容体を急変させた患者に関し,その容体急変の原因は被告人が患者に毒物を投与したことによるものとの疑念を抱き,夫で,当時北陵クリニックの非常勤医師でもあった東北大学未来科学技術共同研究センターH教授に,被告人が患者に何らかの毒物を授与した疑いがある旨打ち明け,その対応等を警察に相談する提案をした。                                        ところが,H教授は,当時被告人を看護職員として信頼していたことに加え,被告人が患者に何らかの毒物を投与した明白な証拠がないことから,警察への相談は時期尚早と考え,反対したが,他方,I医師の疑念を放置することもできず,法医学の専門家に相談することにし,同月9日,東京に赴いた際前東北大学医学部法医学教室教授でかねて知り合いのK医師が院長であった東京都監察医務院を訪れ,同医師に,I医師が作成した書面を見せ,I医師の疑念を説明し,善後策を相談したところ,同医師から,患者の容体急変が人為的なものである証拠がないとの指摘を受けた上,今後容体急変患者が発生した場合,その患者の血液等の生体資料及びその患者に投与された点滴溶液のボトルを保管し,被告人の行動に十分注意するよう助言を得た。
 そこで,半田教授は,I医師にそれを伝え,被告人が患者に何らかの毒物を投与した明白な証拠がない時点で警察に相談に行くことは時期尚早である旨告げて,すぐにでも警察に相談することを希望していた同医師を翻意させた。
  その後も,I医師は,容体急変患者の診療象を精査し,その原因等の再調査結果をまとめた書面を改訂し,それら患者の容体急変原因を医学的に説明できるか検討した。しかし,I医師は,その原因解明が難しいまま,被告人への疑念も打ち消せず,被告人をこのまま北陵クリニックで稼働させれば,今後も患者の容体急変が発生するとの不安を募らせていたところ,同月13日,同日FES(Functional Electrical Stimulation,機能的電気刺激)手術を受け,その術後の経過も良好であったKちゃんが点滴投与中に容体を急変させ呼吸停止に陥った。
  そこで,I医師及びH教授は,K医師の助言に従い,容体を急変した際にKちゃんに投与されていた薬剤在中の点滴ボトル及びその救命措置中に採取した同児の血清を保管した。そして,I医師は,Kちゃんが点液中に容体を急変させ,A子同様に呼吸停止の状態に陥ったことから,被告人に対する疑念を一層深め,翌14日,仙台市立病院のY医師に連絡し,A子の容体急変について面会して相談したい旨を申し出たところ,そのころ仙台市立病院でも,Y医師らが北陵クリニックからの転送患者の容体急変原因に不審を抱き,北陵クリニックの医師から事情説明を受けようと考えていたことから,同月30日,I医師が仙台市立病院に行きY医師と面談することになった。

この論告を整理すると
平成12年10月31日  A子ちゃん急変した。
平成12年11月  7日   市立病院へA子ちゃん急変の原因について                                          電話照会した。
平成12年11月  7日  I医師急変患者死亡した患者の診療録を書面                                                        に記載したした。
                  容体急変した患者に被告人だけが共通して関                                 与していたことが判明し,・・・その容体急変の                            原因は被告人が患者に毒物を投与                                                           したことによりものと疑念を抱き
     日時不明           夫の半田教授に被告人が何らかの毒物を投与                                             した疑いがある旨打ち明けた。
平成12年11月 9日 半田教授が、東京都監察医務院の勾坂医師                                                に相談した。
                  今後容体急変患者が発生した場合,その患者                               の血液等の生体資料及びその患者に投与さ                                 れた点滴溶液のボトルを保管し,被告人                                  の行動に十分注意するよう助言を得た。
     日時不明             I医師被告人への疑念も打ち消せず,今後も                                                 患者の容体急変が発生するとの不安を募ら                                            せていたところ
平成12年11月13日 Kくん容体急変。
平成12年11月14日 市立病院へY医師にA子ちゃんのことで面会                                   を申し入れた。
平成12年11月30日 市立病院でY医師とI医師面会。

この間に起こったとされる検察の述べる事件

平成12年11月13日 Kちゃん被告人が混入した点滴溶液を看護婦の                               Sさんをして左手に刺したサーフロー針から体                                   内へ注入させ呼吸困難の状態に陥らせた。
平成12年11月24日 Sさん被告人により筋弛緩剤の混入した点滴                                      溶液を右足に刺したサーフロー針から体内に                          注入し、急変死亡させた。                                         
平成12年11月24日 Aさんに被告人が混入した点滴溶液を看護婦                             のMさんをして左腕に刺した  翼状針から体内へ                          注入させ呼吸困難の状態に陥らせた。

論告要旨(96頁)
  その後,Kちゃんは,同日(13日)午後1時10分ころ,電極埋込手術を受けるため,手術室に入室し,同日午後1時15分ころから同日午後4時5分ころまでの間,執刀医H教授,助手S医師及びO医師,麻酔医S医師,直接介助被告人 ,間接介助S主任,S看護婦というスタッフによってKちゃんに対する電極埋込手術が行われた。・・・・
 
(1) 11月7日に被告人が毒物を投与したという重大なことを疑念にもったなら、なぜ    その後13日にKちゃんの手術の直接介助をさせたり点滴を行わせたのか。しかもその後も通常通り勤務に従事させていたのはなぜなのか。
(2) 更に、13日Kくんの容体急変があったにも関わらず、毒物を投与した疑いをもちながら、11月24日被告人に点滴溶液を準備させていたことは明らかに矛盾するのではないのか。                                                 

追加 これは、守 大助さんから来た手紙で連絡があったもので、看護記録に記載してあることから、追加するものです。

11月14日 午前6時49分 I医師来院、午前7時I医師Kくんを診察後、守 大助さんに点滴を指示する。(看護記録あり)                                         11月15日から16日まで、守 大助さん当直勤務、夜間に注射、点滴をさせている。16日の点滴、注射指示を守 大助さんに出している。(医師指示・看護記録あり)                                  

  この様に、11月7日に毒物を投与したと疑い始めた被告人を、手術の直接介助をさせたり、13日急変したKくんに対し、14日に点滴をさせたり、15日から16日まで当直勤務をさせ注射・点滴を指示することは、あり得ないのではないか。                   しかも、12月4日に退職させられるまで、通常の勤務をしていたし、夜間の当直勤務もしていたのです。

 検察官は、毒物を投与したと疑った被告人を、通常の勤務に従事させていた医療現場の矛盾を、全く理解していなかったことを露呈していると言わざるを得ません。

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