2008年4月29日 (火)

判決文は、冒頭から真実を歪曲していた。

 最高裁が不当な決定を行ってから、「完全犯罪は無い」つまり裁判所が行ったことは、無実の人間を有罪とした犯罪と同じことだと思って、絶対誤ったことがあると考え、仙台地裁の判決文を読み始めました。

(判決文1頁から2頁)
             主            文
     被告人を無期懲役に処する。
               理         由
(罪となるべき事実)
第1 被告人は,平成12年2月2日午後5時20分過ぎころ,仙台市泉区高森四丁目2番地の536所在の医療法人社団陵泉会北陵クリニック内において,点滴中のM(当時1歳)に対し,同人が死亡するに至るかもしれないことを認識しながら,あえて,呼吸抑制を引き起こす筋弛緩剤マスキュラックスを混入した溶液を,三方活栓から同人の左足に刺したサーフロー針を介して体内に注入し,間もなく同人を呼吸困難ないし呼吸停止の状態に陥らせたが,同クリニック医師,救急救命士及び転送先病院の医師らが救命措置を行ったため,殺害するに至らなかった。

第2 被告人は,同年10月31日午後6時30分ころから同日午後7時ころまでの間,前記北陵クリニック内において,A子(当時11歳)に対し,同人が死亡するに至るかもしれないことを認識しながら,あえて,同人に注入する点滴溶液に,呼吸抑制を引き起こす筋弛緩剤マスキュラックスを混入した上,同人の左手に刺したサーフロー針から同溶液を体内に注入し,間もなく同人を呼吸困難ないし呼吸停止の状態に陥らせたが,同クリニック医師,救急救命士及び転送先病院の医師らが救命措置を行ったため,同人に全治不明の低酸素性脳症の傷害を負わせたものの,殺害するに至らなかった。

第3 被告人は,同年11月13日午後9時ころから同日午後9時40分ころまでの間,前記北陵クリニック内において,K(当時4歳)に対し,同人が死亡するに至るかもしれないことを認識しながら,あえて,呼吸抑制を引き起こす筋弛緩剤マスキュラックスをあらかじめ混入した点滴溶液を,その情を知らない同クリニック看護婦Sをして,上記Kの左手に刺したサーフロ―針から体内に注入させ,間もなく同人を呼吸困難ないし呼吸停止の状態に陥らせたが,同クリニック医師らが救命措置を行ったため,殺害するに至らなかった。

第4 被告人は,同年11月24日午前9時15分ころから同日午前10時ころまでの間,前記北陸クリニック内において,S子(当時89歳)に対し,同人が死亡するに至るかもしれないことを認識しながら,あえて,呼吸抑制を引き起こす筋弛緩剤マスキュラックスをあらかじめ混入した点滴溶液を,同人の右足に刺したサーフロー針から体内に注入し,よって,同日午前10時30分ころ,同所において,同人を呼吸不全に陥らせ,窒息させて殺害した。

第5 被告人は,同日午後4時10分ころから同日午後4時50分ころまでの間,前記北陵クリニック内において,A(当時45歳)に対し,同人が死亡するに至るかもしれないことを認識しながら,あえて,呼吸抑制を引き起こす筋弛緩剤マスキュラックスをあらかじめ混入した点滴溶液を,その情を知らない同クリニック看護婦Sをして,上記Aの左腕に刺した翼状針から体内に注入させ,間もなく同人を呼吸困難の状態に陥らせたが,同人が同クリニック看護婦らに助けを求め,同看護婦らが救命措置を行ったため,殺害するに至らなかった。

 判決文では、いずれもマスキュラックスを混入あるいは点滴溶液に混入したとして罪となる理由を冒頭述べていますが、全く見当違いというよりマスキュラックスを知らないで、H元東北大医学部教授の証言を鵜呑みにして罪にしたのです。
 マスキュラックスは、判決文に有るような点滴液に混入した場合、薬効が出ないということは、日本オルガノン株式会社のマスキュラックスについての説明資料から明かであると思います。

1、マスキュラックスは、2~4mg/mLの溶解液を直接一気に静脈に注射して使用するものです。従って0.02~0.04mg/mLと濃度が100分の1になったものを点滴の速度で静脈に入れても効果が出ません。


2、効果発現時間及び持続時間は、初回量0.08mg/kgでの発現時間は2~3分、 持続時間(単収縮が対照の25%まで回復する時間)は約30分前後であるとしていることから点滴液で濃度が薄められた場合、効果が発現しないばかりか代謝して行くことから持続も不可能です。

この様に明らかに事実を歪曲した判決であると思います。

マスキュラックスの販売もとである日本オルガノン株式会社の資料より抜萃

(用法及び用量)
 通常、成人には初回量臭化ベクロニウムとして0.08~0.1mg/kgを静脈内投与し、術中必要に応じて0.02~0.04mg/kgを追加投与する。
 なお、年齢、症状により適宜増減する。

注射液の調整法
1. マスキュラックス靜注用4mg(4mg/管)
  静脈内投与に際しては、1管を添付溶解液(日局注射用蒸留水1mL/管)に用時溶解して用いる。(溶解後の臭化ベクロニウム含有量:4mg/mL)
2. マスキュラックス靜注用10mg(10mg/バイアル)
    静脈内投与に際しては、1バイアルを日局注射用蒸留水5mLに用時溶解して用る。(溶解後の臭化ベクロニウム含有量:2mg/mL)

(薬理動態)
1.血中濃度
 手術患者4例に臭化ベクロニウム0.08mg/kg、3例にパンクロニウム臭化物0.08mg/kgを各々静脈内に一回投与し両剤を比較したところ、分布半減期(t1/2α)は各々1.2分、2.4分と差はみられなかったが、排泄半減期(t1/2β)は各々11分、76分と臭化ベクロニウムが有意に短く、パンクロニウム臭化物に比して短時間で代謝又は排泄されて血中から消失することが示された。
2.代謝、排泄
 手術患者5例に臭化ベクロニウム0.15mg/kgを静脈内投与した場合、投与後24時間までの尿中排泄率は投与量の約30%であり、その約10%は3α―脱アセチル体であった。
 また、手術患者6例に同量を静脈内投与した場合、投与後24時間までに肝胆系を介して主に未変化体(排泄量の約5%が3α一脱アセチル体)として排泄され、投与量の約40~50%が胆汁中へ排泄された。(参考:外国人―オルガノン社研究所)

(参考:動物)
 ラットの全身オートラジオグラフィーの実験から、静脈内投与後、主として肝臓、腎臓、気管等に分布し、中枢神経系、脂肪 組織にはほとんど移行しないことが認められている。

(臨床成績)
 本剤の臨床試験は、麻酔時の筋弛緩並びに気管内挿管時の筋弛緩を目的として、国内21施設で各科領域手術患者1192例を対象に実施された。その結果、各種麻酔条件下での種々の手術患者において、いずれも満足すべき筋弛緩効果と高い安全性が認められた。臨床試験の概略は以下のとおりである。
1. 初回投与量
 本薬の初回投与量は0.08~0.1mg/kgが大部分であった。
2. 効果発現時間及び持続時間
 麻酔法、投与量等により異なるが、初回量0.08mg/kgでの発現時間は2~3分、持続時間(単収縮が対照の25%まで回復する時間)は約30分前後であった。
3. 追加投与量忍び持続時間
 0.02 ~0.04mg/kgが大部分であり、その持続時間は約20分前後であった。
4. 回復時間
 拮抗剤投与後の回復時間(単収縮が対照の25%から75%まで回復する時間)は約5分であった。
5. 蓄積性
 本剤の反復投与による蓄積作用はほとんと認められなかった。

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2008年3月14日 (金)

太陽は条件が変われば西から昇る

去る2月25日最高裁は、守大助さんの上告を棄却し無期懲役を決定しました。

私は、弁護団が上告趣意書で大阪府警の鑑定書がベクロニュウムを検出していないことを明確に指摘しているにもかかわらず無視していることに対し,いきどうりでいっぱいです。

仙台高裁の判決文6頁から

 しかしながら,土橋吏員の証言(第23回)によれば,LC/MS/MSにおいては,分析の過程で電圧,カラムなどの分析条件や使用器具に関し同じ条件で分析すれば,検出されるイオンの種類,発現時間は同一になるが,条件が変われば結果も変わるというのであるから,分析条件に関わらず分子量関連イオンが必ず検出されるといえない。
 土橋吏員らの分析方法は所論指摘の日本法中毒学会の雑誌「法中毒」1999年5月号に,「パンクロニウムとベクロニウムの分析方法」(=西川・土橋論文)(当審弁51)として掲載,発表されているのであり,本件各鑑定もこの手法によるものであるが,影浦鑑定意見書が指摘するまで,これが誤りであるとの指摘がなされてきたことがうかがわれず,その再現性,有効性が承認されてきたことがうかがわれる。
 そして,土橋吏員らは,薬毒物の鑑定は年間150件くらい行い,これまで筋弛緩剤の鑑定は15件,資料の点数にして50点くらいの経験があり,うち生体資料の鑑定は10件くらいで,筋弛緩剤が検出された例は3件くらいあるというのであり,その薬毒物分析の実務経験を通し,LC/MS/MSの特性を踏まえた最良の分析条件と思われる条件を把握しており,これを生かしながら,分析装置及び分析条件を同一にして,鑑定資料を分析する郁度標品のベクロニウムについても分析をする必要性を強調した上,同一条件下で,標品のベクロニウムで検出されたイオンの種類,発現時間と試料のそれとを対照して同一性の判定をしているのであり,べクロニウムからm/z258のイオンが出現していることを疑う理由はない。              
 なお,土橋吏員の証言(第24回,第25回)によれば,本件各鑑定において,各鑑定資料からベクロニウムの未変化体が分離・検出されていることが認められるから,m/z258のプリカーサイオンが,本件各鑑定資料中に存在したベクロニウムの脱アセチル化した変化体に由来するものでないことは明らかである。
 これに対し,影浦鑑定意見書は,前記のとおりの意見を提出しているのであるが,影浦教授がこれまでどの程度ベクロニウムの分析経験を有するのか不明であるばかりでなく,添付資料から見て,その試験条件について,その装置が西川・土橋論文ないし本件各鑑定書と同様の装置を用いたか不明であり,分析条件が異なることは明らかである。影浦教授が,構造の類似したベクロニウムとパンクロニウムが異なった機序でイオン化するのを納得し得る科学的根拠が見いだせないからといって,西川・土橋論文が分析条件を呈示し,ベクロニウムであることが疑いようがないベクロニウム標本からm/z258のプリカーサイオンを得ているのに,同様の装置及び分析条件を用いてその再現性を確認しないで,自己の分析試験から西川・土橋論文の手法,結果を非難するのは一面的であり,本件各鑑定の信用性を損なうものとはいえない。

この様に、土橋証言を鵜呑みにして分析条件が違えば違う指数値が出るなどと科学を全く理解しない判決をしているのです。

私は、この裁判官の判決文は、「太陽は東から昇るが、条件が変われば西からも昇る」というような判決。

これを最高裁が何のためらいもなく、踏襲したことと思い震えが止まりませんでした。全く科学を無視した非科学的な知識を持った裁判官が人間を裁いている現実に、呆然とするとともに怒りと、絶対に許すことが出来ないと思いました。

 

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2008年2月28日 (木)

筋弛緩剤(マスキュラックス)の分子量(1)

筋弛緩剤マスキュラックス(臭化ベクロニウム)の分子量は

分子式  (炭素)34 (水素)57 Br(臭素) (窒素)2 (酸素)4

原子量  12.0107   1.00794   Br79.904  14.0067 15.9994

分子量  C34+ H57+ Br+ N2+O4

      408.3638 +  57.45258 +  79.904 +  28.0134  +   63.9976 = 637.73138

臭化ベクロニウムの分子量は637.73138です。  原子量は、原子量表(1999)を使用しました。

ベクロニウムの分子量は、557.82738 になります。

※参考  2007年8月改訂(第11版)  日本標準商品分類番号 871229    日本オルガノン株式会社の「有効成分に関する理化学的知見」の分子量は637.73です。

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2008年2月27日 (水)

最高裁は、重大な事実を検証していない。

 最高裁判所は、重大な事実誤認を発見する努力を行わなかったことをみずから認めた決定であることがあきらかになったと思いました。

最高裁判所の決定は、次の通りでした。

主文

本件上告を棄却する。当審における未決勾留日数中400日を本刑に算入する。

理由

 弁護人○○○○ほかの上告趣意は、違憲をいう点を含め、実質は単なる法令違反、事実誤認の主張であって、いずれも刑訴法405条の上告理由に当たらない。なお、所論は○○○らの行った鑑定には多々疑問があると主張するが、所論にかんがみ記録を精査しても、被告人が筋弛緩剤マスキュラックスを点滴ルートで投与することにより本件各犯行を行ったとした原判断につき、判決に影響を及ぼすべき法令違反又は重大な事実誤認を発見することはできず、同法411条を適用すべきものとは認められない。よって、同法414条、386条1項3号、刑法21条により、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり決定する。

 私は、本日この決定を読んで、これで無実の人間を無期懲役に出来るとは恐ろしく思いました。

 今後、一つ一つ真実で、この理由をくつがえしてゆきたいと思いますが、とりあえず次の点について私見を記載します。 

・・・・・所論にかんがみ記録を精査しても、被告人が筋弛緩剤マスキュラックスを点滴ルートで投与することにより本件各犯行を行ったとした原判断につき、判決に影響を及ぼすべき法令違反又は重大な事実誤認を発見することはできず・・・

 マスキュラックスを点滴で投与して急変や殺人を行えることが可能であるかということです。

 マスキュラックスは現在医療現場では、効果的かつ医療目的に合った薬として使用されておりますが、どの様に患者に投与しているか検証していないのではないか、また点滴で患者に投与した場合(医療現場でこんな投与を行った事例は無いはずです。)、果たして人を殺すことが可能なのか、検証していないことが明らかになったと思われます。したがって記録を精査しただけでは重大な事実誤認を発見できなかったことは、当然なことだといわざるをえないと思います。

最高裁は、記録を精査することではなく、真実(この事件の場合は、医学と科学)を探求することが重要な課題ということを怠ったと言わざるをえません。

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2008年2月 6日 (水)

裁判員制度が来年始まるが?

 私は、この事件の「論告要旨」、「判決文」をスキャナで読み取りデータ化してきましたが、いずれもA4版で400ページをを超えるものです。これを読み理解するために、数十時間を要しましたが、それでも見落としたことが多々有りました。裁判員制度では、市民の裁判員が検察官の求刑を求める検察官の論告を、数日で判断を求められます。裁判員には、過酷な判断をせざるを得ないと思います。この北陵クリニック事件では、膨大な報道で被告人が犯罪者だと思わせる報道がなされました。この様なことが、裁判員の心証に影響したなら冷静な意志の表明は出来るか不安でありません。裁判員制度は、何を求めているか、私には理解が出来なくなっているのが現況です。

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2008年1月23日 (水)

検察官の論告の矛盾は冒頭から。

論告要旨(3頁から5頁)

   1 I医師及びH教授が北陵クリニックにおける容体急変患者の発生に不審を抱いた経過等及びその後の対応
   当時北陸クリニックの副院長兼小児科医師であったI医師は,平成12年10月31日,北陵クリニックで自ら処方した薬剤をA子に点滴投与中,同児が容体を急変させて呼吸停止状態に陥ったため,同クリニックでの対処が困難であると判断し,同児を仙台市立病院に救急転送させるに至った。
 I医師は,同児が容体を急変させた原因を検討したが,医学的に原因を解明できなかった。そこで,I医師は,同年11月7日,救急転送先の仙台市立病院の小児科Yに電話し,A子の症状及び想定し得る容体急変原因を尋ねたところ,同医師から,同児の症状について,重篤で意識が戻らない状態で,意識が戻ったとしても重大な後遺症が残る旨を伝えられるとともに同児の容体急変原因は,仙台市立病院における諸検査等によっても,その原因疾患が発見されず,容体を急変させ呼吸停止状態に陥った原因を解明できない旨の説明を受けた。そのため,I医師は,同児が北陵クリニックで診療を受けている間に何らかの毒物を投与された可能性があるとの不安を抱き,さらに北陵クリニックでは同児が容体急変する以前にも多くの患者が同様の容体急変を起こしており,特に平成12年1月以降,容体急変患者が増加していることに気付き,それらの患者にも何らかの毒物が投与されたとの疑念を抱いた。
 そこで,I医師は,同日,北陵クリニックで保管中の診療録のうち,診療中に死亡した患者10名及びその時点で把握していた死亡には至らなかったものの容体を急変させた患者4名の各診療録を自宅に持ち帰り,以後,それら患者が死亡,あるいは容体を急変させた状況やその際に当該患者の看護に関与した職員などを検討し,その結果を書面に記載するようになった。
  I医師は,その検討過程で,北陵クリニックで診療中に死亡,あるいは容体を急変させた患者は,1名の死亡患者を除き,いずれも,点滴投与中又は点滴投与直後,あるいは点滴投与のための血管確保中のいずれかで容体を急変させ,それらの患者の容体急変と点滴処置との間に関係があるとうかがえる状況である上,それらの患者の容体急変原因は医学的に説明困難で,大半の患者の容体急変時の症状に突然の呼吸停止あるいは顔面チアノーゼの発現という共通点があり,A子の容体急変以前に死亡,あるいは容体急変した患者の看護に被告人だけが共通して関与していたことが判明し,しかも,A子の容体急変も点滴投与中で,その処置を行ったのは,当日の当直勤務であった被告人であることから,A子,あるいはそれ以前に北陵クリニックで診療中に容体を急変させた患者に関し,その容体急変の原因は被告人が患者に毒物を投与したことによるものとの疑念を抱き,夫で,当時北陵クリニックの非常勤医師でもあった東北大学未来科学技術共同研究センターH教授に,被告人が患者に何らかの毒物を授与した疑いがある旨打ち明け,その対応等を警察に相談する提案をした。                                        ところが,H教授は,当時被告人を看護職員として信頼していたことに加え,被告人が患者に何らかの毒物を投与した明白な証拠がないことから,警察への相談は時期尚早と考え,反対したが,他方,I医師の疑念を放置することもできず,法医学の専門家に相談することにし,同月9日,東京に赴いた際前東北大学医学部法医学教室教授でかねて知り合いのK医師が院長であった東京都監察医務院を訪れ,同医師に,I医師が作成した書面を見せ,I医師の疑念を説明し,善後策を相談したところ,同医師から,患者の容体急変が人為的なものである証拠がないとの指摘を受けた上,今後容体急変患者が発生した場合,その患者の血液等の生体資料及びその患者に投与された点滴溶液のボトルを保管し,被告人の行動に十分注意するよう助言を得た。
 そこで,半田教授は,I医師にそれを伝え,被告人が患者に何らかの毒物を投与した明白な証拠がない時点で警察に相談に行くことは時期尚早である旨告げて,すぐにでも警察に相談することを希望していた同医師を翻意させた。
  その後も,I医師は,容体急変患者の診療象を精査し,その原因等の再調査結果をまとめた書面を改訂し,それら患者の容体急変原因を医学的に説明できるか検討した。しかし,I医師は,その原因解明が難しいまま,被告人への疑念も打ち消せず,被告人をこのまま北陵クリニックで稼働させれば,今後も患者の容体急変が発生するとの不安を募らせていたところ,同月13日,同日FES(Functional Electrical Stimulation,機能的電気刺激)手術を受け,その術後の経過も良好であった高橋健太が点滴投与中に容体を急変させ呼吸停止に陥った。
  そこで,I医師及びH教授は,K医師の助言に従い,容体を急変した際に健太に投与されていた薬剤在中の点滴ボトル及びその救命措置中に採取した同児の血清を保管した。そして,I医師は,健太が点液中に容体を急変させ,A子同様に呼吸停止の状態に陥ったことから,被告人に対する疑念を一層深め,翌14日,仙台市立病院のY医師に連絡し,A子の容体急変について面会して相談したい旨を申し出たところ,そのころ仙台市立病院でも,Y医師らが北陵クリニックからの転送患者の容体急変原因に不審を抱き,北陵クリニックの医師から事情説明を受けようと考えていたことから,同月30日,I医師が仙台市立病院に行きY医師と面談することになった。

この論告を整理すると
平成12年10月31日  A子ちゃん急変した。
平成12年11月  7日   市立病院へA子ちゃん急変の原因について                                          電話照会した。
平成12年11月  7日  I医師急変患者死亡した患者の診療録を書面                                                        に記載したした。
                  容体急変した患者に被告人だけが共通して関                                 与していたことが判明し,・・・その容体急変の                            原因は被告人が患者に毒物を投与                                                           したことによりものと疑念を抱き
     日時不明           夫の半田教授に被告人が何らかの毒物を投与                                             した疑いがある旨打ち明けた。
平成12年11月 9日 半田教授が、東京都監察医務院の勾坂医師                                                に相談した。
                  今後容体急変患者が発生した場合,その患者                               の血液等の生体資料及びその患者に投与さ                                 れた点滴溶液のボトルを保管し,被告人                                  の行動に十分注意するよう助言を得た。
     日時不明             I医師被告人への疑念も打ち消せず,今後も                                                 患者の容体急変が発生するとの不安を募ら                                            せていたところ
平成12年11月13日 Kくん容体急変。
平成12年11月14日 市立病院へY医師にA子ちゃんのことで面会                                   を申し入れた。
平成12年11月30日 市立病院でY医師とI医師面会。

この間に起こったとされる検察の述べる事件

平成12年11月13日 Kくん被告人が混入した点滴溶液を看護婦の                               Sさんをして左手に刺したサーフロー針から体                                   内へ注入させ呼吸困難の状態に陥らせた。
平成12年11月24日 Sさん被告人により筋弛緩剤の混入した点滴                                      溶液を右足に刺したサーフロー針から体内に                          注入し、急変死亡させた。                                         
平成12年11月24日 Aさんに被告人が混入した点滴溶液を看護婦                             のMさんをして左腕に刺した  翼状針から体内へ                          注入させ呼吸困難の状態に陥らせた。

論告要旨(96頁)
  その後,Kくんは,同日(13日)午後1時10分ころ,電極埋込手術を受けるため,手術室に入室し,同日午後1時15分ころから同日午後4時5分ころまでの間,執刀医H教授,助手S医師及びO医師,麻酔医S医師,直接介助被告人 ,間接介助S主任,S看護婦というスタッフによってKくんに対する電極埋込手術が行われた。・・・・
 
(1) 11月7日に被告人が毒物を投与したという重大なことを疑念にもったなら、なぜ    その後13日にKくんの手術の直接介助をさせたり点滴を行わせたのか。しかもその後も通常通り勤務に従事させていたのはなぜなのか。
(2) 更に、13日Kくんの容体急変があったにも関わらず、毒物を投与した疑いをもちながら、11月24日被告人に点滴溶液を準備させていたことは明らかに矛盾するのではないのか。                                                 

追加 これは、守 大助さんから来た手紙で連絡があったもので、看護記録に記載してあることから、追加するものです。

11月14日 午前6時49分 I医師来院、午前7時I医師Kくんを診察後、守 大助さんに点滴を指示する。(看護記録あり)                                         11月15日から16日まで、守 大助さん当直勤務、夜間に注射、点滴をさせている。16日の点滴、注射指示を守 大助さんに出している。(医師指示・看護記録あり)                                  

  この様に、11月7日に毒物を投与したと疑い始めた被告人を、手術の直接介助をさせたり、13日急変したKくんに対し、14日に点滴をさせたり、15日から16日まで当直勤務をさせ注射・点滴を指示することは、あり得ないのではないか。                   しかも、12月4日に退職させられるまで、通常の勤務をしていたし、夜間の当直勤務もしていたのです。

 検察官は、毒物を投与したと疑った被告人を、通常の勤務に従事させていた医療現場の矛盾を、全く理解していなかったことを露呈していると言わざるを得ません。

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2007年10月15日 (月)

鑑定資料の全量消費の矛盾(3)

   鑑定資料の分析に要する時間については、分析に要する作業、分析作業の準備から分析・分析後の機器・機材の洗浄等一連の作業があるため、更に今回のように、他の毒物等の検出のための分析を考慮すると、1回に要する時間を特定することは不可能だということが分かりました。
 従って、大阪府警T技官の証言では1ミリリットルの資料から、50回の定性分析に必要な注入量がとれるとしていることから、鑑定資料の量がどの程度の分析が可能か計算してみると、約5200回の分析を行ったことになります。

平成12年12月12日大阪府警に搬入
    Kくんの鑑定資料   
        血清   約2ミリリットル             100回
        点滴溶液  約50ミリリットル       2500回
    A子ちゃんの鑑定資料
                血清      約6ミリリットル              300回
                尿        約8ミリリットル               400回
平成12年12月20日大阪府警に搬入
    Sさんの鑑定資料
         点滴溶液  約30ミリリットル    1200回
上記の鑑定報告書 (平成13年1月19日)

平成13年1月24日
   Mちゃんの鑑定資料大阪府警に搬入
                 血清  約1ミリリットル              50回
上記の鑑定報告書 (平成13年2月23日)

平成13年2月12日大阪府警に搬入
   Aさんの鑑定資料
                 点滴溶液    約7ミリリットル        350回
                 点滴溶液    約3ミリリット          150回
                 点滴溶液    約3ミリリットル        150回
上記の鑑定報告書 (平成13年3月23日)
                                                   合計  5200回

平成12年12月13日から平成13年3月22日までの間、年末年始土日を差し引くと69日が就労日数として、
      5200回÷69日=75.36回(1日の分析回数)

つまり、大阪府警科捜研の技官は、約70日間大阪府警科捜研の仕事を行わずに、1日約75回以上の分析を行えば、鑑定資料を全量消費したことになります。

しかし、鑑定資料の全量の矛盾(1)で記載しましたが、

判決文47・48頁の「・・・・ところで、大阪府警科捜研は、当時多忙であったところを、・・・」が事実とすれば、5200回にも及ぶ分析がなされていなかったことが明白ではないかと思います。

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2007年8月21日 (火)

鑑定資料の全量消費の矛盾(2)

大阪府警科捜研で、鑑定資料を全部分析に使用したと言っておりますが、分析にようする時間は、かなり長時間の分析を行ったことになります。

現在、1回分析に要する時間を検証しておりますが、どうしても検体を受領してから鑑定書を提出するまでの時間では、全量を分析したということは、あり得ない時間になります。このことを、明らかにするため、現在検証中です。

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2007年5月12日 (土)

ここまで掲載していて思うこと。

限られた自分の時間を使って、これまでブログの内容を掲載してきましたが、私の手元にある論告要旨、判決文には、まだまだ疑問点などの部分に付箋が付けてあります。私は、裁判とは人間を裁くのだから一点の過ちも有ってはならないと思っております。被告人の人生を法によって変えることから、当然だと思います。                         私は、事件当時、新聞やテレビの報道から、守大助さんは恐ろしことをした犯人だと思っておりましたが、論告要旨、判決文を読んで、こんなことで犯人にされたかと思うと、当時の報道が何を根拠に行われたのか疑問を感じます。                                      無実の人は、無罪であることは当然なことですので、ささやかな力ですが、これからも、この裁判における矛盾点や疑問点等を皆様に知って頂きたいと努力しようと思います。

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2007年5月 6日 (日)

鑑定資料の全量消費の矛盾(1)

判決文74頁                                            (3)鑑定資料が全量消費されたことについて                           弁護人は、本件各鑑定により各鑑定資料がいずれも全量消費されたことをとらえ、そもそも、真実、前記(1)イ(エ)のような鑑定嘱託書で嘱託されていない他の薬毒物の検査が実施されたか自体疑わしいし、仮に実際に他の薬毒物の検査が行われた事実があったとしても、それは、再鑑定による追試を妨げる目的で、殊更に鑑定資料を全量消費したものであるから、いずれにしても、各鑑定書の証拠能力及び信用性は否定されるべきであると主張する。                                               しかし、T吏員の証言によれば、本件各鑑定のような事件性を有する事例においては、単に目的成分が検出されたというだけでは、被害結果が他の薬毒物により引き起こされた可能性も否定できず、後々他の薬毒物が検出されて因果関係が問題とされた事例も多々あるため、薬毒物による事件の鑑定において、薬毒物の含有の有無全般の分析を行わないことは致命的な欠点になり得るとの認識を有し、日ごろから大阪府警察から鑑定嘱託に基づく鑑定においては、目的成分を限定しない「薬毒物含有の有無」との嘱託事項で鑑定を行っており、大阪府警科捜研の他の技術吏員にもそのような指導をしていたところ、本件各鑑定の嘱託書では鑑定事項が限定されていたため、宮城県警科捜研のY吏員に問い合わせた結果、他の薬毒物の鑑定が未了であることが判明したため、鑑定事項を「薬毒物含有の有無」とすることを提案したが、その後Y吏員から、宮城県警側で相談した結果として、鑑定事項はそのままにしておいて、他の薬毒物分析も行ってほしいとの依頼を受けたことから、他の薬毒物分析を行うことになったことが認められるのであり、その経緯には、一応の合理性が認められ、首肯し得るのであり、特段不自然な点は認められない・・・・・

この様に、いとも簡単に鑑定事項に他の薬毒物を追加しているが、次の論告要旨との整合性が全く無いことを、裁判官はどの様に理解しているのでしょうか。

論告要旨152頁                                           ところで、大阪府警科捜研のT技術吏員は,A子の血清等の鑑定嘱託を受け、これらの鑑定資料を受領したが、鑑定資料が同時に4点も持ち込まれたため、宮城県警科捜研にたいし、その後の鑑定嘱託に当たっては、ベクロニウム等鑑定対象薬物が含有されている可能性のあるものを選別した上で鑑定嘱託をしてほしい旨を要請し、これを受けて、宮城県警科捜研では、Sさんに投与された点滴溶液の残溶液に臭化ベクロニウムが混入されていれば、同溶液中から臭素が検出されることになるから、同溶液について、臭素含有の有無の予備試験を行った上、臭素の含有が認められた場合に同溶液を大阪府警科捜研に鑑定嘱託することとした・・・・・・

T技術吏員は、同時に4点の鑑定資料を持ち込まれたことから、ベクロニウム等の鑑定対象薬物の含有されている可能性のあるものを選別して鑑定嘱託してほしいと要請したことは、明らかに鑑定嘱託の限定するよう要請していながら、裁判では目的を限定しないで鑑定を行った等と証言しているが、どちらが真実なのでしょうか。?

すなおに考えるなら、論告要旨のとおり、大阪府警科捜研の仕事をしている中で、他県から鑑定嘱託があったので、鑑定嘱託の目的をなるべく効率的に行うために鑑定資料をあらかじめ限定して持ってきてほしいと要請したのが当然であったのではないでしょうか。

警察には、犯罪の捜査に当たって、次のような決まりがあります。                                 犯罪捜査規範(昭和32年7月11日国家公安委員会規則第2号)             (再鑑識のための考慮)                                      第186条 血液、精液、だ液、臓器、毛髪、薬品、爆発物等の鑑識に当たっては、なるべくその全部を用いることなく一部をもって行い、残部は保存しておく等再鑑識のための考慮を払わなければならない。

このように、規則も守らないで再鑑定を不可能にした全量消費を行ったのは、本当に不自然ではないのだろうか。証拠隠滅と同様なことではないかと思います。

追加(2007・5・20)                                         判決文47・48頁                                            ・・・ところで、大阪府警科捜研は、当時多忙であったところを、前記のとおり12月12日に一度にO事件及びT事件の各資料が持ち込まれたことから、宮城県警科捜研に対し、今後鑑定資料を持ち込む場合には、臭化ベロニウムの含有する可能性が高いものを選別してからにしてほしい旨依頼し、これを受けた宮城県警科捜研において、上記点滴ボトル内の溶液につき臭素含有の予備試験を実施することとした。・・・・

裁判官は、当時多忙であった状況と、全量消費したことの矛盾を、どの様に理解しているのでしょうか。

こんな矛盾した判決で、有罪にして良いのでしょうか。                                

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2007年4月28日 (土)

薬事法を知らない?検察官・裁判官

論告要旨256頁                                          ・・・加えて、被告人が平成12年12月4日夜多数のマスキュラックスの空アンプルが入っていた針箱を北陵クリニックから密かに持ち出そうとしたこと、被告人が不必要にマスキュラックスを発注していたことなどの各事実を総合すれば、被告人がMちゃん事件の犯人であることは、優に認められ、毫も疑念の余地がない。

論告要旨278頁                                          ・・・加えて、被告人が不要不急なマスキュラックスの発注を依頼し、そのマスキュラックスを管理していたこと、北陵クリニックを退職することが決まるや、マスキュラックスの使用済み空アンプル19本も入った針箱を院外に持ち出そうとしたことなどの事実を総合すれば、被告人がA子ちゃん事件の犯人であることが十分に認められ毫も疑念の余地がない。

論告要旨313頁                                          ・・・北陵クリニックを退職した日の夜に被告人が多数のマスキュラックスの空アンプルの空アンプルが入った針箱を北陵クリニックから持ち出そうとしたこと、北陵クリニックの在職中被告人が注文ノートに発注依頼を記入する方法で不要不急な多数のマスキュラックスを発注していたことなどの事情、さらに、被告人がKちゃん事件において、明らかな虚偽の供述に終始しているなどを総合すれば、Kちゃん事件の犯人が被告人であることに毫も疑念を入れる余地がない。

論告要旨347頁                                           被告人が平成12年12月4日夜いったん帰宅しながら北陵クリニックに戻り、多数のマスキュラックス空アンプルが入った針箱を持ち出そうとしたこと、被告人は北陵クリニック在職中不要不急なマスキュラックスの発注を行い、納品させたマスキュラックスを実質的に管理していたこと、北陵クリニックでは正規の医療行為として使用されず使途不明となっているマスキュラックスが存在すること、さらに、被告人が被告人質問で虚偽の供述に終始していることなどを総合するならば、S子事件の犯人が被告人であることは、毫も疑念の余地がない。

論告要旨364頁                                           ・・・被告人が平成12年12月4日夜いったん帰宅しながら北陵クリニックに戻り、多数のマスキュラックス空アンプルが入った針箱を持ち出そうとしたこと、被告人は北陵クリニック在職中不要不急なマスキュラックスの発注を行い、納品されたマスキュラックスを実質的に管理していたこと、北陵クリニックでは、正規の医療行為に使用されず使途不明となっているマスキュラックスが存在すること、さらに、被告人が公判廷において虚偽の供述に終始していることなどを総合するならば、Oさん事件の犯人が被告人であることについて何ら疑念の余地がない。

この様に、検察官は「針箱を持ちだそうとしたこと」と「不要不急なマスキュラックスを発注したこと」を理由に5つの事件の犯人であることを論告しており、

判決文27・28頁                                      北陵クリニックでは、平成9年7月ころまでは、常駐の薬剤師が薬剤の管理を行っていたが、その後は、薬剤師を置かなくなったことから、薬剤を正規に管理する者がいなくなり、看護婦が、薬剤の在庫状況を適宜確認し、不足している薬剤があった場合には、前記薬品庫備え付けの「注射薬注文ノート」「注文ノート」又は「発注ノート」と呼ばれていたノートに、その薬剤の名称及び必要数量等を記載し、事務職員等がその記載に基づき薬剤販売業者に発注してその納入を受けていた。

この様に、裁判官は、マスキュラックスが毒薬であることを理解していなかったためか、この様な判決文になっているのです。

「針箱の持ち出し」については、12月4日退職を言われてから、北陵クリニックに戻った被告人が、手術室等をワックス掛けを行う等清掃した時に、廃棄すべきものを忘れていたので、廃棄しようとしたもので、詳細は別に掲載します。

ここでは、検察が言う被告人が「不要不急のマスキュラックスを発注したこと」が、邪推であること。

さらに、裁判官が薬事法を学び発注を検証しなかったことが、次のとおり明らかであります。

1、 商取引上発注とは、購入する側が、販売業者に対し、購入する品目、数量等を伝え、発注者が納入を促す行為であります。つまり、被告人は発注したのではなく、注文もしくは発注ノートに記載だけで、販売業者に対し何ら意思表示は行っていません。

従って、発注したのは被告人ではなく、注文・発注ノートを見た事務職員等がその記載に基づき、購入の必要性を判断して薬剤販売業者に連絡して納品されていたのです。

2、マスキュラックスは毒薬です

薬事法より(譲渡手続)                                       第46条 薬局開設者又は医薬品の製造販売業者、製造業者若しくは販売業者(第3項及び第4項において「薬局開設者等」という。)は、毒薬又は劇薬については、譲受人から、その品名、数量、使用目的、譲渡人の氏名、住所及び職業が記載され、厚生労働省令で定めるところにより作成された文書の交付を受けなければ、これを販売し、又は授与してはならない。

この様に、判決文にあるようなことでは、マスキュラックスの購入はできません。

薬事法にある文書の作成がなされ、販売業者に交付することによって購入ができるのです。従って、裁判官は、誰の名前で譲渡するための文書が作成されていたかを、明らかにすることが当然必要なことですが、全く明らかにしておりません。

          

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2007年4月16日 (月)

ここから、医療廃棄物区分の間違いが始まった。

論告要旨20頁                                               そこで、T警部は、12月5日午前零時30分ころ北陵クリニックに呼んだS婦長に確認し、針箱、通常手術室前室に置かれていることはなく、使用済注射針を捨てる医療廃棄物容器であり、通常針箱に空の薬剤アンプルを捨てない旨の説明を受け、被告人が罪証隠滅の目的で当夜針箱を持ち出そうとしたとの疑いを深め、・・・・

深夜のS婦長の一言が、医療廃棄物の分別区分の誤った推認の始まりであったのです。

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副院長であるI医師は、筋弛緩剤を知らなかったのか?

平成12年11月30日、I医師が仙台市立病院に行って市立病院の医師との面談の状況から

判決文217頁                                           ・・・当初、筋弛緩剤のことを直接に尋ねるつもりはなかったものの、I医師に対して、筋弛緩剤を北陵クリニックにおいて使用しているかどうか尋ねた。これに対して。I医師が一瞬ピンと来ず、「えっ筋弛緩剤と言いますと。」と聞き返したため、N医師が「例えばサクシンとかミオブロックとか。」と商品名を挙げて説明したところ、I医師は「サクシンならあります。手術のときに使っています。」と応えた。そこで、N医師は、I医師に対して、何者かが治療以外の目的で筋弛緩剤を患者に投与したため患者の容体が急変した疑いがあることを説明した。・・・・

この会話でI医師は、矛盾しております。

I医師は、筋弛緩剤と言われて、筋弛緩剤を知らないのか、聞き返していること。

ところが「サクシンならあります手術のときに使っています。」と答えていること。

I医師は、手術の時に使われているとは知っていながら、サクシンがどの様な薬理作用があり、どの様な目的で使用されているか理解していないことを露呈しているのですが、次の論告要旨から筋弛緩剤を知らなかったとは、あり得ないはずです。

(なお、N医師の「何者かが治療以外の目的で筋弛緩剤を患者に投与したため患者の容体が急変した疑いがあることを説明した。・・・・」ことは、別に検証して記載したいと思います。)

論告要旨217頁                                           ・・・しかも、平成11年5月17日以降マスキュラックスを使用した手術7件中6件(使用数量合計6アンプル)は、FES手術への助成金を請求するため「ひと研究費明細」と題する書類が作成され、そこには手術で使用した薬剤の種類、数量等が記載されているが・・・

この様に、北陵クリニックでFES手術が行われ、助成金を得て研究が行われていて、「ひと研究費明細」の書類が作成されていたことから、マスキュラックス(筋弛緩剤)を記載した書類を作成していたのです。したがって、副院長のI医師が、筋弛緩剤を知らなかったということは矛盾しています。

参考文献 副院長のI医師が「ALS基金」に提出した研究奨励金研究成果報告

        「ALS.pdf」をダウンロード

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2007年4月11日 (水)

検察官の推認(感染性廃棄物の認識)は、邪推だった。

論告要旨218頁                                             さらに、そもそも針箱は、使用済みの針やメスの刃等を捨てるための容器であって、看護婦が、業務の中で、正規に使用した薬剤の空アンプルを針箱に入れることは、通常あり得ない。すなわち、医療提供施設、あるいは医療従事者にとっ医療廃棄物の分別は当然のことであり北陵クリニックでも、針を捨てるための針箱以外に、空アンプル及び空ボトルを捨てるための容器、ガーゼなど血液の付着したものを捨てるための容器及びその他一般のゴミを捨てるための容器が各所に設置され、分別が義務づけられていた。したがって、針箱にマスキュラックスの使用済み空アンプルが投棄されていたこと自体、正規使用以外に使用されたことを強く推認させる。

「裁判官の医療廃棄物の区分を知らなかった・・・・・」に記載した医療廃棄物の正しい分別区分を知らなかったため、検察官は感染性医療廃棄物の処理について、北陵クリニックの職員の供述を鵜呑みにして、間違った推認をした。                                                                 

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裁判官は、医療廃棄物の区分を知らなかったため、間違った判決をした。

判決文34頁                                             北陵クリニックでは、医療行為に伴って生じる廃棄物を、感染症廃棄物(ガーゼ、酒精綿、包帯などの血液等が付着した廃棄物)、感染症扱い廃棄物(使用済み注射針、縫合針、メスの刃など)、非感染症廃棄物(薬剤のからアンプル使用済み点滴ボトルなど)、一般廃棄物(薬剤の空き箱などもえるごみ)に分別することとし、職員は、廃棄物が生じるとその分別に従い、それぞれ専用のゴミ箱等に投棄していた。

と記載しているが、非感染症廃棄物として、薬剤のからアンプル使用済み点滴ボトルを混在している場合、廃棄物処理業者は、回収しないことを理解していないのである。

感染性廃棄物の適正処理について(平成4年8月13日厚生省生活衛生局水道環境部衛第234号)の通知の別紙「廃棄物処理法に基づく感染症廃棄物処理マニュアル」によれば

感染性廃棄物①液状又は泥状のもの(血液等)                               感染性廃棄物②固形状のもの(血液等が付着したガーゼ等)                 感染性廃棄物③鋭利なもの(使用済み注射針、メス、試験管、ガラスくず(空アンプル))                                                                                   非感染性廃棄物(医療行為等に伴って生ずる廃棄物のうち感染性廃棄物以外の廃棄物プラスチック(点滴ボトル)                                                                                  一般廃棄物(紙くず、厨芥等)

感染性廃棄物を収納した運搬容器には、感染性廃棄物である旨及び取り扱う際に注意すべき事項を表示するものとする。として更にバイオハザードマークを推奨しており、その種類は

(1)液状又は泥状のもの(血液等)赤色                            (2)固形状のもの(血液が付着したガーゼ等)橙色                      (3)鋭利なもの(注射針等)黄色

したがって、鋭利なもの(注射針等の中には、メス、試験管、シャーレ、ガラスくず等)つまり針箱の中に空アンプルが入っていることは、医療廃棄物の処理区分は正しいのです。

判決文228頁                                            また、既に認定したとおり、北陵クリニックにおいては医療廃棄物の分別区分が厳格に行われていたのであるから、これらの事情に照らすと、そもそも手術で使用したマスキュラックスの空アンプルが針箱に廃棄されていたとは容易に想定し難く、したがって、針箱内に手術で使用したあるいは手術のために準備した筋弛緩剤のアンプルのみが入っていたという弁護人の主張はその前提において不合理である。

判決文259頁                                             しかし、まず、既に認定したように、医療廃棄物の分別が厳格に行われていた北陵クリニックにおいて、本来空アンプルを捨てることが予定されていない針箱に筋弛緩剤の空アンプルを廃棄していたとの被告人の供述は極めて不合理である。

この様に、裁判官は、北陵クリニックの職員が医療廃棄物について間違った供述をしていることを鵜呑みにして、検証を怠ったため、弁護人の主張や、被告人の供述を不合理として間違った判決を行っているのです。

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2007年3月25日 (日)

北陵クリニックの廃止理由は裁判所による競売でありました。

北陵クリニックが医療機関を廃止するまでの足取りを、管轄する仙台市泉保健所に提出した書類から検証しました。                                    1、平成13年3月12日付けの休止届け理由                           「元準看護士による刑事事件発生のため診療継続が困難となったため休止する。」      休止期間 平成13年3月10日から平成13年5月31日まで                                                    

2、平成13年5月28日付けの休止届け理由                          「筋弛緩剤による刑事事件発生後診療継続が困難となり平成13年5月31日まで休止届けを出していたが、再開目的として活動を行うためさらに2ヶ月休止する」             休止期間 平成13年6月1日から平成13年7月31日まで

3、平成13年7月30日付けの休止届け理由                          「現在診療再開を目的として具体的活動を展開中であり、診療科目を含む診療形態の策定 資金調達、人員の確保等々の調整のためさらに5ヶ月休止する」           休止期間 平成13年8月1日から平成13年12月31日まで

4、平成13年12月26日付けの休止届け理由                          「筋弛緩剤による刑事事件発生後診療継続が困難となり、平成13年12月31日まで休止届を出していたが、診療所の再開に向け、関係者と協議、調整中のため、3ヶ月休止するもの」                                               休止期間 平成14年1月1日から平成14年3月31日まで

5、平成14年4月1日付けの廃止届理由 「現在、裁判所による競売手続きが進行しており、再開の見込みもたたないため平成14年3月31日をもって本診療所を廃止する。」

この様に、事件後再開に向けて努力してきたが、裁判所の競売手続きが進行していたことは、平成11年仙台市から差押えを受けるほど経営が悪化してから、差押えが解除されたとはいえ、その後も経営は一向に改善されていなかったことが、明らかであります。

検察は、論告要旨で次のように述べておりますが、

論告要旨201頁                                          ・・・さらに、H教授及びI医師の証言によれば、確かに、北陵クリニックの経営状態は、平成12年当時、必ずしも良好ではなかったものの、当時メインバンクであった足利銀行、同銀行から紹介された財務コンサルタント会社、あるいは東北医療福祉会の協力を得て経営改善案が策定され、泌尿器科等一部標榜科目の診療中止とそれに伴う非常勤医師の削減等の経費削減策等を実施したことにより、同年10月ないし11月ころには、単月黒字にまで経営改善され、、さらに、通所リハビリテーションの実施や、院長を高給のN医師から別の若い医師に変更するなど経営方針が固まりつつあった。

論告要旨202頁                                         ・・・・。平成11年10月に仙台市の差押えを受けた点も、同年12月には差押えが、解除されているから、平成12年11月当時の経営状態を示す証拠にはならないし、・・・・

このように検察は、北陵クリニックの経営が悪化していたことが、改善された様に論告しているが、事件前から経営が悪化し、事件後も再開の努力を行ったが競売に付されたことは、明らかに経営は一貫して悪化していたことを理解していないと言わざるをえません。

※ 経営が悪化していたことが、様々な問題を引き起こしたことの背景については、別に掲載します。

 

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2007年2月21日 (水)

大阪府警の鑑定書の疑問2

前回の記載から、しばらく更新しないでおりましたが、当時大阪府警の文書規程が改定になったため、改訂後の文書規程の内容を取り寄せるため時間がかかっております。

また、昨年12月15日、最高裁判所に提出した上告趣意書では、当時、鑑定が行われていたか?という事実も調べることが必要になっています。

もうしばらく、鑑定書の作成経過、鑑定の事実を精査するため、時間が必要になっております。

大変申し訳ありませんが、もうしばらく時間を戴きたいと思います。

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2006年10月 1日 (日)

大阪府警の鑑定書の疑問

鑑定書が宮城県警に報告されているが、本当に鑑定後作成されたものか検証中です。

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2006年9月17日 (日)

M子ちゃん(1才1ヶ月)のからだの、十数ヶ所に針を刺す医療の実態。

論告要旨237頁
・・・・母親にM子ちゃんの身体を押さえさせながら検査用の採血を試み、何度か失敗しながらM子ちゃんの血液を採取した。
 N看護婦は、採血に引き続き、M子ちゃんに点滴のためのサーフロー針の刺入を試みたが、泣いて暴れるM子ちゃんに約20分ほどかけて左右の手に合計4ないし5回サーフロー針を刺したものの、うまく刺入できず、結局、自力でM子ちゃんの血管を確保することを断念し、M子ちゃんから採取した血液などを持っていったん同病室から退出し、外来診療の介助をしていたS主任にM子ちゃんの血管確保を頼んだ。
 そこで、S主任が同病室に赴いたが、M子ちゃんの血管が元々細かった上、N看護婦が針を刺した痕が内出血していたため、作業に手間取り、蒸しタオルで血管の拡張を図ったり、K総婦長の援助を得た末、約30分ほどかかってようやく、M子ちゃんの左足首の静脈にサーフロー針を刺入し、同日午後4時20分ころ、グルコース及びビスコンを調合済みのソリタT1の溶液の点滴投与を開始した。

判決文84頁
 S1病室に入室したM子ちゃんに対し、Y看護婦が体温測定し、N看護婦が採血を行うなどした後、同日午後3時30分ころから、前記処方②の点滴を処置するため、N看護婦が、M子ちゃんの血管にサーフロー針を刺入しようと、何回かM子ちゃんの両手に突き刺したが、血管に刺入することができなかった。そこで、N看護婦はS主任に応援を求め、S主任がK総婦長の援助も得て何回かM子ちゃんの左足首の静脈にサーフロー針の刺入を試みた結果、同日午後4時20分ころ、血管を確保することができたので。・・・・・

この様に、論告要旨、判決文でM子ちゃんの採血、点滴までの様子が明らかにされております。約50分の間に
(1)採血のため何度か失敗しながら針を刺し
(2)その後約20分にわたって左右の手に合計4ないし5回サーフロー針を刺し
(3)更に、針を刺した痕が内出血していたため、蒸しタオルで血管の拡張を図ったり、約30分ほどかかって、何回かM子ちゃんの左足首の静脈にサーフロー針を刺し

 これが、M子ちゃん(1才1ヶ月)に対する北陵クリニックの医療の実態です。

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M子ちゃんの入院は、病状から勧めたのではなかった。

論告要旨32頁
 I医師は、M子ちゃんにそれまでと同様咽頭にやや発赤が認められたのに加え、母親が看病に疲れた様子だったのでM子ちゃんの入院を勧め、母親もこれに応じたので、M子ちゃんの入院が決まった。

判決文103頁
・・・I医師も、M子ちゃんは喘息様気管支炎及び脱水症の症状が認められたものの、喘息様気管支炎は、呼吸困難がほとんどないか、あっても極めて軽いものであり、これにより呼吸停止を起こすことはないと考えられ、また、脱水症についても、M子ちゃんに見られたのは軽度なもので、それから呼吸停止になることは考えられないし、極度の脱水症がっても呼吸停止するすることはない旨証言しており、同証言についても、小児科医としての専門的知見と自らM子ちゃんを診察した経験に基づきなされたもので、疑いを差し挟むべき事情は認められない。・・・・

 つまり喘息様気管支炎は、呼吸困難がほとんどないか、あっても極めて軽いものであり、脱水症についても軽度なものであるなら、入院までさせる必要があったのでしょうか。
 医療機関は、患者の病状から入院を勧めることがあるべきで、母親が疲れているから入院を勧める等ということは、医療なのでしょうか。

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12月4日、警察は「犯人守大助」「凶器筋弛緩剤」で行動していた。

論告要旨25頁
・・・・同警部らは、依然として被告人が北陵クリニックの患者に筋弛緩剤を投与したとの確信を持つことができず、むしろ同年12月4日に被告人がH教授による突然の退職勧告を何の不満も言わずに受け入れたことから、被告人が退職するに当たって、薬品を持ち出すなどのトラブルを起こすおそれがあると懸念し、それを防ぐために被告人の動静を監視することとした。

つまり、この時点では、筋弛緩剤を投与したことの確信を持つことができずと、言ってながら、

判決文230頁
・・・・そして、平成12年12月3日H教授,I医師、S婦長及びS主任により行われた在庫調査の結果、この時点でマスキュラックスが9アンプル存在していることが判明した(その内訳は、ロット番号が「2956869Y」のもの8アンプル、「24973794」のもの1アンプルであった。尚、同月4日、鑑定に使用するために、マスキュラックス1アンプル(ロット番号「24973794」のもの)が領置されたため、同月9日に実地見分の際には、マスキュラックスの在庫は8アンプルであった。)。

 この様に、既に12月4日には、鑑定に使用するためマスキュラックスを警察は領置していたのです。
 つまり、鑑定に使用するとということは、明らかに「犯人・守大助」「凶器・筋弛緩剤(マスキュラックス)」で捜査をしていたことが、明らかではないでしょうか。
 

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2006年9月16日 (土)

裁判官はここでも歪曲した。 

判決文では、薬剤管理の状況を次のように言っております。

判決文P27
・・・・・・・・北陵クリニックでは、平成9年7月ころまでは、常駐の薬剤